セブン&アイ・ホールディングスが9月に発表したオムニチャネル施策は堅実な滑り出しだ。同社は10月1日、オムニチャネルECサイト「オムニセブン」を試験的に公開。すでにそごう・西武やイトーヨーカ堂などのアイテムをサイト内で横断的に購入でき、配送や店頭受け取りを選択できる仕様だ。11月1日のグランドオープンに向けて品ぞろえを見直すとともに試行錯誤を重ねている。村田紀敏セブン&アイ・ホールディングス社長は、「オムニチャネルの効果はすでに出始めており、『ジャンポール・ゴルチエ フォー セットプルミエ』をネットで知って店頭で買い、ついでに食料品を買うといった好循環が生まれている。『オムニセブン』は新たな広告媒体とも捉えられる」と語る。システムについて、「将来的にはグループ全体のシステム統合が目標だが、まずはスタートすることを念頭に各社別のシステムを利用して進めている。今後は会社を超えた新しい接点を作るためにアプリが必要になる。『ロフト』ではすでにアプリを使って売り上げが大幅に増加した。さらなる効果が見込めるはず」と話す。また、「ニッセン」では9月に店頭の留め置きサービスをスタート。開始後1カ月ですでにユーザーの約2割が「セブン-イレブン」での受け取りを利用しているという。「単なる店舗留め置きではなく、EC経由の売り上げを店舗に計上できるよう進めている。これが実現すれば小さな店舗も"在庫を持たない総合スーパー"になりうる」と村田社長。
セブン&アイHDの3?8月期連結決算は、売上高に相当する営業収益が前年同期比99.7%の2兆9949億円、営業利益が同103.1%の1724億円、純利益が同100.7%の845億円で、グループ全体では3年連続過去最高益を記録した。今年度の軸となるプライベートブランドも好調で、「セブンプレミアム」の3?8月期売上高は同123.0%の4940億円。今年度目標1兆円に向けて、順調な結果だった。