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前人未到の「服の全自動工場」、中国企業のコンサイニーが意欲

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カシミヤ紡績大手のコンサイニー・グループ(CONSINEE GROUP)のトップであるボリス・シュエ社長が、「ワタから服までの全自動工場」に意欲を示している。コンサイニーは2022年からすでに中国・寧波市にカシミヤ糸の無人工場を稼働させており、ボリス社長は「小売りのパートナーが見つかれば、(新設に)すぐにでも着手する」と語る。服の中でもカシミヤやウール糸を使うセーターは、島精機の無縫製ニット機「ホールガーメント」を筆頭に自動化に向いていて、同社の工場内に最新鋭ニット機を設置・活用すれば、前人未到の「全自動セーター工場」が実現する可能性は高い。
(この記事は「WWDJAPAN」9月23日付の記事を一部加筆しています)

カシミヤ糸の製造は2022年から「全自動化」

コンサイニーの寧波工場は綿(ワタ)から紡績、染色、出荷作業まで、通常の紡績機・染色機に加え、各工程間をロボットなどでつなぐ全自動・無人化工場になっている。ボリス社長は、「最も難しかったのは全工程をつなぐITシステム。ドイツのシーメンスの協力をあおぎ、機械も含めて総工費2億ドル(約280億円)を投じて5年がかりで完成させた」という。カシミヤ糸の紡績は、糸自体が繊細で扱いづらい上に、湿度や気温などで染色時の細かな設定なども変えねばならないなど難易度が高く、中国でも全自動化は進んでこなかった。生産管理や工程は「コクピット」と呼ばれるコントロールセンターで管理しており、稼働から2年を経て「すでに無人化工場の稼働は安定している。定番品は高級品番も含めて、こちらに移行している」。

同工場で生産するカシミヤ糸は、主にセーター用に使用されており、ニット工場向けに巻き上げた「コーン」の状態で箱詰めし、出荷するまでを自動化している。一方セーターの生産は、日本の島精機の「ホールガーメント」を使えば、製品の状態で生産できる。ボリス社長は「当社の生産ラインと編み機をつなぎ、かつ編み機への糸の設置も含めた全自動化は、紡績工程の全自動化と比べると難易度はそう高くない。やろうと思えばすぐにでもできるくらいだ」と語る。「もちろん糸の出荷(糸売り)と、製品売りではビジネスモデルが全然違うし、実際にやるとなればアパレルや小売りのパートナーも必要になる」としつつも、「日本の大手SPAや中国の有力アパレル小売りには、自動化に非常に意欲的な企業は多い。寧波工場の改造なども必要になるが、ワタから服までの全自動化を実現できれば世界初で、世界でのインパクトも大きい。私としては是が非でも成し遂げたい」。

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