2025年春夏コレクションをサステナビリティ視点で見れば、ベストコレクションは「ディーゼル(DIESEL)」でしょう。なぜならデザイナーのビジョンがクリアに伝わったからです。啓蒙的であると同時に高揚感がすごい。圧倒的NO.1です。
まずは、現地取材のリポートをどうぞ
上の記事に詳しいように、会場には14.8トンのブルーデニムの端切れが敷き詰められ、その上を実験的なデニムウエア、もしくはデニムにしか見えないニットなどを着たモデルが歩きます。オフィシャルサイトの動画のカメラワークは時に頭上から全景を、時に足元から舐めるように見上げ、そのスケールの大きさを伝えます。生地の毛羽立ちすら見えそうなクローズアップもあります。ショーの進行とともに端切れはモデルの足で踏み固められ、道らしきものが浮かび上がりドラマチックです。
ショーで伝えるのは「デニムの廃棄物の循環性」です。結果、ディーゼルのデニム生産で出た端切れを組み込んだ100%リサイクルコットンのデニムなどが登場します。クリエイティブ・ディレクターのグレン・マーティンス(Glenn Martens)が伝えたかったのは「廃棄物の美しさ」とのことで、この着眼点がとてもユニークです。だって「ゴミは美しい」と言い切るデザイナーは多くありませんから。廃棄物の再利用は結果的に「地球のため」にもなり得ますが、グレンはそれを言わずに「美しいから使う」と言い、実際に挑発的でシルエットが服に仕立てる。これがデザインの力です。
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