2025年春夏のロンドン・ファッション・ウイークで際立ったのは、チュールやオーガンジー、コルセットのディテールなどヴィクトリアン調のロマンチックなムードとミリタリー要素の掛け合わせだ。その背後には、不安定な社会情勢にファッションという武器で立ち向かおうとするメッセージが込められている。(この記事は「WWDJAPAN」2024年9月30日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
「バーバリー(BURBERRY)」
トレンチコートをエレガントに再構築
ダニエル・リー(Daniel Lee)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーは、ブランドDNAのトレンチコートを自由に再構築した。エポーレット部分のフェザーのあしらい、シルクポプリンやリネンの素材使いで軽やかさを重視。ゆったりと腰ではくカーゴパンツには、アウターを大胆に切ったようなクロップド丈のトップスを合わせた。華やかなスパンコールドレスに、フィールドジャケットを重ねるアウトドアの解釈がダニエルらしい。現代美術家ゲイリー・ヒューム(Gary Hume)をパートナーに迎えて制作した会場セットに合う、クリーンなカラーパレットでエレガントにまとめた。
「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」
制限の中で追求する素材の可能性
ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=デザイナーは今季、素材をシルクサテン、レザー、カシミヤ、スパンコールの4つに絞った。「世界が変革期を迎えている今、視野を狭めて焦点を絞るクリエイションが大事だ」とアンダーソン。おなじみのトロンプルイユの手法でシルクサテンの生地にニットカーディガンの柄をプリントしたり、それをスパンコールで表現したり。レザーで作るチュチュや巨大な網目が飛び出すドレスなど、異なるテクニックで素材の汎用性を実験的に追求した。シルエットは、コンパクトなミニワンピースで統一し、現代版のトムボーイを提案した。
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