では、今後のアジア戦略はどうなるのか。仮に「ルームスリンク」が韓国、台湾で成功すれば、香港やシンガポール、バンコクといった新興都市での開催も視野に入れる。
松井プロデューサーは「各都市でベストパートナーを探し、我々と価値を共有すれば提携もありえる。すでに出展オファーをもらった都市もある」と語る。ただ、いくらマーケットを創出しても、日本ブランドが韓国や台湾、シンガポールで売れる保証は一つもない。松井プロデューサーも「日本のブランドにとってチャンスが広がっている。しかし、ソウル発のデザイナーは、価格設定を含めたグローバルなマーチャンダイジングに長け、世界を相手にビジネスを進める術を知っている。20代後半のデザイナーを核に、独自性のあるクリエイションも生まれつつある。日本のデザイナーズブランドが対等にわたり合うには、価格やデザインの優劣を含め、売るための土台を固める必要がある」と警鐘を鳴らす。
「ルームスリンク」が、マーケットを創出した後は、デザイナーのクリエイションとやる気次第ということだろう。また、台北では、同エリアでビジネスが確立した後に、近隣の上海や香港にビジネスが拡大する様相を見せている。台湾では若手デザイナーの育成が遅れているものの、ファッション感度の高い消費者が数多く存在する。同展がアプローチを始めた両国において、どうビジネスが広がるのか。2013年の動きに注目したい。