ユナイテッドアローズ子会社のコーエン(COEN)は、新レーベル「ロネル(RONEL)」を2024年秋冬シーズンに立ち上げた。8月下旬から公式オンラインストアなどで販売している。楽な着心地と手入れのしやすさにこだわりながら、オンのシーンに活躍するメンズとウィメンズのウエアをそろえ、「コーエン」ブランドでは取りきれていない“きれい目市場”にアプローチする。
苦戦が続くコーエンの新たな柱に
「コーエン」は値頃感のあるカジュアルファッションを軸に2008年に始動。顧客層の拡大に伴い、行き過ぎた商品価格の値下げやブランディングに苦戦。コロナ以降、業績は右肩下がりで、2024年3月期の売上高は、前期比10.6%減の95億円で減収減益だった。
建て直しを図る「コーエン」の新たな一手が「ロネル」だ。事業責任者の星洋輔コーエン営業本部本部長は、「コーエン社としての売り上げ目標値を達成するには、『コーエン』だけの成長では足りないと判断した。『コーエン』の出店も進めるものの、全く新しい世界観のブランドでも攻めていく必要がある。市場を俯瞰すればきれい目のゾーンがまだまだ熱い。カジュアルなスタイルが好きな人でも、きれい目なファッションが必要になる場面はある。そうした層を狙い、『コーエン』の生産背景を強みにカジュアル目線のきれい目スタイルを『ロネル』で提案していきたい」と話す。価格帯は「コーエン」の1.2〜1.5倍程度に設定した。
コンセプトは「知性を感じる大人のデイリースタイル」
ブランドの顔として打ち出したのは、通年販売予定の“マイシル パンツ“と名付けたテーパードパンツだ。通常S・M・Lのサイズ展開のところ、“マイシル パンツ“は0〜4サイズをそろえる。0、1はオフィスやセレモニーなどきちんとしたシーンに適したすっきりとしたシルエット、2、3はシーンを問わない今っぽいスタイル、4はよりリラックス感のあるメンズライクなルーズシルエットで着られるように設計している。ストレッチ性に優れ、シワになりにくく、家で洗えるといった機能面も売りだ。価格は5489円。
シーズン商品は「知性を感じる大人のデイリースタイル」をコンセプトに掲げて企画した。商品企画担当者は、「働き方が多様化し、ビジネスライクなウエアが必要なシーンは広がっている。さまざまなオンのシーンに着られる汎用性を意識した」と説明する。
例えば、ツイード風の生地を用いたセンタープレス入りのサロペット(1万2100円)には共地のダブルブレストのジャケット(1万4300円)を合わせ、ひねりを効かせたセットアップスタイルを提案する。コーデュロイ素材のショートジャケット(9889円)は、タックで袖にボリュームを出し、首回りは程よく肌を露出するノーカラーにすることで、カジュアルときれい目のバランスを取った。アウターはレイヤードしやすい、ゆったりとしたサイジングのリバーコート(2万9700円)や、ヒップをカバーするミドル丈のダウンジャケット(3万800円)などをそろえる。
また、10月2日にはスタイリストの大草直子とのコラボレーションアイテムを発売予定で、新規客へのリーチを狙う。アイテムはワンピース3型とオールインワン1型、ジャケット1型の全5型と、大草が愛用しているアイウエアブランド「イジピジ(IZIPIZI)」とのトリプルコラボ商品2型。
メンズはスーツライクなビジネス群と、ミリタリー要素を取り入れたカジュアル群の2軸で企画した。特にビジネス群のテーラードジャケット(1万3200円)は伸縮性のあるポリエステル糸を採用したり、スラックス(7689円)は、ウエストベルトの内側にゴムテープを配したりして、ストレスフリーな着心地を実現。スーツ工場で仕立てた端正な見た目と、機能性を両立させている。
カジュアル群ではパッチポケットを配したフェイクレザーのブルゾン(1万8150円)やスタンドカラーの中綿ベスト(1万6500円)などを企画。同社担当者によると発売以降、女性客からの評判も良いという。
「ロネル」は、来年度をめどに都心のショッピングセンターなどへの出店を計画中だ。