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アダストリア、自社ECを「アンドエスティ」に改称 「外部ブランドも使いやすいプラットフォームへ」

アダストリアが、会員数約1860万人(8月末時点)に育った自社ECモールのプラットフォーム化を加速する。10月23日付で、自社ECのサービス名称を「ドットエスティ(.st)」から「アンドエスティ(and ST)」に変更。それに先駆けて9月末から、「ワコール(WACOAL)」「ファンケル(FANCL)」など15ブランドが、順次同ECに乗り入れを開始する。

「アダストリアの『ドットエスティ』としては既に一定の知名度があるが、(自社だけでなく)外部の企業やブランドがもっと使いやすいサービスにしていきたい」と、木村治社長は改称の理由を説明。また、「“ドット”という言葉はデジタルのイメージが強いが、OMOとしてリアル店舗の力もさらに生かした、モノを売る場というだけではないサービスにしていく」と続ける。

「ドットエスティ」は2022年から、他社ブランドの乗り入れ=オープン化を進めてきた。現時点では、ソックスの「靴下屋」、シューズの「オリエンタルトラフィック(ORIENTAL TRAFFIC)」、美容機器の「ヤーマン(YA-MAN)」など、外部8〜9ブランドが参画しているが、ここに24年年末にかけて15ブランドが新たに加わることになる。

「ドットエスティ」の最大の強みは、アダストリアの販売員らが参加するスタイリング投稿コンテンツ“スタッフボード”だ。社内で教育制度を整えるなどし、同コンテンツに参加する販売員は24年2月末時点で約4100人にまで育った。彼らが「ドットエスティ」に乗り入れる外部ブランドの商品についても投稿し、フォロワーを多数抱える人気スタッフは協業で外部ブランドの商品デザインなどにも取り組むことによって、他社にとっても魅力的と感じられるECのあり方を追求している。

「ファウンドグッド」は
「すべてがうまくいっているとは言わない」

アダストリアは9月30日に、3〜8月期業績も発表した。売上高が前年同期比8.5%増の1442億円、営業利益が同3.8%減の99億円、純利益が同2.0%減の69億円だった。減益ながら計画は上回っているとして、通期目標は据え置く。

基幹の「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ニコアンド(NIKO AND…)」「ラコレ(LAKOLE)」などがけん引し、アダストリア単体は堅調だったものの、100%子会社の飲食のzetton、EC専業のBUZZWITなどが利益を押し下げた。「シーイン(SHEIN)」が猛威を振るうヤングマーケットで気を吐いてきたBUZZWITについては、「ビジネスモデルの転換が必要。今までは(子会社として)任せてきたが、アダストリアから営業責任者も着任し、てこ入れを進める」。

イトーヨーカドーと取り組む「ファウンドグッド(FOUND GOOD)」など、BtoB事業のシェアが増えていることも粗利を押し下げることになった。2月にスタートした「ファウンドグッド」は「すべてがうまくいっているとは言わない」と木村社長。「展開するイトーヨーカドーの店舗によって求められる価格帯も違い、(もともとは食品フロアの30〜40代客との買い周りを目指していたが)実際の売り場には60〜80代客も多く、そうしたお客さまをどう取り込むかなどが課題になっている」。修正を重ね、25年2月期に掲げている売上高60億円を目指す。

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