毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年9月30日号からの抜粋です)
本橋:人生初のNYは、とりあえず物価が高かったです……。試しにホテルの朝食でパンケーキとカフェラテを頼んでみたら6000円。そしてまだ暑い日本の感覚で行ったら肌寒かったです。上着が必要でした。
木村:ロンドンも最低気温5℃。「バーバリー(BURBERRY)」のトレンチしか持っていかず、失敗しました。ロンドンコレはミラノやパリと比べてこじんまりしているのかと思っていましたが、1日20ブランドくらいショーをやっていて、とても1人では全部回りきれず。でも今回の私のテーマは「なるべく新人を見る」。ロンドンの若手のショーを観られたのが、とても楽しかったです。
本橋:いいですね。注目株は見つかりましたか?
木村:ロンドンはコンセプチュアルなものが多く、メッセージが分かりやすいんです。そんな作り手と観客のキャッチボールが楽しかったです。特に初めて見る新進デザイナーのショーは、解釈が自由。どれか1つが突出しているのではなく、それぞれのコミュニティーや、デザイナーのやりたいことが明確で、世代的にも近い私には伝わってくるものが多く、共感できました。本橋さんはどうでしたか?
軽やかな黒の使い方に感心
本橋:僕は、NYはパリやミラノに比べるとトレンド発信パワーが小さいけれど、リアルクローズ感が強みだと考え、「日本のメーカーやスタイリストが見て、明日から参考にできるもの」をテーマに取材しました。一番印象に残ったのは、黒の使い方。日本ではどっしり重くなりがちな色ですが、NYブランドの手にかかると、黒のレイヤードスタイルでも軽やかで驚きました。シアー素材や短丈ジャケットなどを大胆に使ったスタイリングが上手くて、そこにも感心しました。
木村:ベストブランドはありましたか?
本橋:カッコよかったのは「ケイト(KHAITE)」です。黒の使い方もすばらしかったのですが、そのままだと日本人にはちょっと難しい着こなしかもしれず、実際まだ日本での扱いは少ないです。また、NYは国際情勢不安と大統領選前の緊張感など、世界が揺れ動いている中で、国籍や人種など自らの揺るがぬルーツをデザインに融合する作り手も多いのが印象的でした。それにしても帰国から1週間たつのに、まだ時差ボケが抜けず、今(15時)も死ぬほど眠い……。僕の体内時計は、いつまでもニューヨーカーのつもりみたいです(苦笑)。