PROFILE: 金村美玖/日向坂46
日向坂46の金村美玖の初となる写真展「みとめる」が10月6日まで、東京・神保町のギャラリー「New Gallery」にて開催されている。
同展は、金村が2023年の冬から24年春まで旅をしながら撮影したセルフポートレートと風景写真が展示されている。展示作品のコンセプト、撮影、モデル、衣装、ロケーションなど、全て金村自身が1人で考え、制作したという。
写真展の開催にあたり、金村は、「撮影を始めたきっかけは衝動的なものでしたが、撮り続けていくうちにこの写真たちが誰かのこころに寄り添えるものになってほしいと考えるようになりました。タイトルの『みとめる』は自信がなかった自分へのメッセージであり、鑑賞していただいた方への『みとめる』きっかけにという思いを込めました。誰もが抱えている見えない感情と向き合える展示です。金村美玖として発表する初めての作品をぜひお楽しみください」とメッセージを寄せる。
今回、個展会場で、同展に対する金村の思いを聞いた。
大学での思い出
WWD:まずは金村さんが写真を撮り始めたきっかけから教えてください。
金村美玖(以下、金村):中学3年生ごろに中古でミラーレスの一眼レフカメラを買ってもらったのがきっかけです。当時、SNSが流行っていて、スマホで写真を撮ってアップしていたんですが、もっとクオリティーの高い写真を撮りたいと思い、親にお願いして買ってもらいました。でも、買ってもらってから少ししたら「けやき坂46」のオーディションに受かり、しばらくは忙しくてあまり写真は撮っていなかったんです。だんだんと活動を続ける中で自分が撮影してもらう機会も増えて、「そういえばカメラ買ってもらったな」と思い出して、そこからまた本格的に撮るようになりました。それが17〜18歳ごろだったと思います。
WWD:そこから日本大学の藝術学部写真学科に進学します。進学の経緯は?
金村:もともとアート系の大学への進学は考えていました。芸能の仕事をしているのもあり、一番興味があるのがアートや表現の分野でした。その中で、ご縁があったのが、日芸の写真学科でした。だから、もともとすごく写真がやりたかったかといえば、そうではなくて。写真はもちろん好きでしたけど、入学してからより写真にのめり込んでいったという方が近いかなと思います。
WWD:大学でどんな写真の勉強をされているんですか?
金村:最初は座学から始まって、まずカメラの構造や仕組み、写真の歴史とかを学んだり、有名な写真家の方にお話を聞く授業もありました。そこから実技でポートレートの撮影をはじめ、光も変えて撮影したり、いろんな撮影方法を試したりして。フィルムの写真も好きだったので、3年生の時はフィルムの授業を選択して、撮影して暗室で現像してプリントしてっていうのを繰り返していました。
WWD:大学入学してすぐコロナになった感じですか?
金村:そうです。なので、1、2年生はオンライン授業も多くて、登校も週に1回とかでした。
WWD:そんな中で大学の生活で印象に残っていることは?
金村:大学2年生の時のゼミの授業です。その時の先生がすごく面白い先生で、授業なのに、ゲームとかトランプしたり、みんなでただ話をしたり、写真展とかも見に行ったりして。あと写真だけでなく、絵本や詩を紹介してくれたり、先生が小説みたいなものを毎週書いてきてくれたりとかして。写真とはいえ、文章を書いたり、言語化できる能力っていうのがやっぱり必要なので、いっぱい人と話したり、文章に触れる機会が多くて、とても勉強になることがたくさんありましたし、とても思い出に残っています。
WWD:現在4年生ですが、卒業制作の方は?
金村:卒業制作は絶賛制作中です。でもまだちょっとまとまっていなくて。もう少し練っていいものにしたいと考えています。
WWD:写真を学んだことが日向坂46の活動に生かされていたりしますか?
金村:そうですね。やっぱり写真を勉強することで、被写体として自分が撮影される時にカメラマンさんの気持ちをくむことができるようになったと実感しています。
WWD:写真を撮るのと撮られるのはどちらが好きですか?
金村:どちらも同じぐらい好きなので、選ぶのは難しいですね。
セルフポートレートの理由
WWD:写真展「みとめる」はいつごろから企画されていたんですか?
金村:もともと大学に入学したころから、最終的な目標として、いつかは写真展を開きたいという思いはずっとありました。現実的に動き始めたのは、今年の初めごろでした。
それまでも写真はずっと撮ってはいたんですが、こんなにも早く夢がかなう機会をいただけてびっくりしましたし、やるからには一番素敵な状態で開催したいなって思っていました。こうして運良く自分の誕生日(9月10日)から会期がスタートできたので、すごくうれしかったです。
WWD:展示の写真は2023年冬から今年の春まで撮影したセルフポートレートと風景の写真で構成されていますね。
金村:今回は自分1人でコンセプトから、セルフポートレートという撮影方法、ロケーションを考えました。実際に現地に行くのも1人で、ヘアメイクや衣装も自分で手掛けています。
WWD:セルフポートレートという撮影方法は意外でした。なぜセルフポートレートを選んだのですか?
金村:以前から興味を持っていたんですけど、なかなかチャレンジする時間がなくて。普段は主にグループのメンバーを撮影することが多くて、自分が写る機会が少なくて、それで1回挑戦してみようと思い、旅に出たのがきっかけです。
実際に旅先でセルフポートレートを撮ると、自分で自由に時間を使えるし、たくさん撮っても誰にも怒られない。セルフポートレートの撮影って側(はた)から見ていると1人ですごく寂しそうに見えるんですけど、自分の表現に好きなだけ時間をかけることができるので、私にとってはそれがよかったです。
WWD:セルフポートレートの撮影ってすごく難しそうですが。
金村:最初はかなり苦戦し、時間もかかりました。撮り始めたのが2023年冬の北海道 雪のロケーションだったので 、その中を歩くのですら大変で…人の迷惑にならない場所を探して撮影していくのも一苦労でした。
最初、三脚を立てて自分で撮るとなると、決まった画角や表情など、結構同じような写真が続いてしまうことが多かったので、途中からいろんな撮り方や表情をするように意識をしています。なので、いろんな表情の私が垣間見らえると思います。
WWD:ロケ地はどのような基準で選んだのですか?
金村:もともと旅が好きだったので、行きたい場所の候補はたくさんあったんですけど、仕事の合間に1泊2日とかで行くことが多くて、前々から予定を立てるというよりかは、前日に「行こう」と決めることが多くて。それだと海外は難しいですし、飛行機のチケットや宿が運良く取れた場所に行きました。
WWD:思い出に残っている写真は?
金村: やっぱり最初の北海道の旅が一番記憶に残っています。ちょうどこの時期すごく暗い気持ちだったんですけど、素敵なご家族のと所にホームステイをしまして。一緒にいた犬や子供とも遊んだりして、前向きになれる機会をいただけたのが印象的です。
タイトル「みとめる」に込めた思い
WWD:展示の写真のセレクトやレイアウトも金村さんが決めたんですか?
金村:そうです。本当はもっと飾りたい作品もある中で、アドバイスも頂きながら、額装や配置の仕方、サイズ感を考慮して心に響く写真を選びました。
WWD:展示の中に鏡がありましたが、あれはどういった意図なのですか?
金村:私はアイドルなので自撮りする機会はあるんですけど、皆さんは日常生活の中で自分で自分を撮る機会ってあまりないと思うので、会場に来た人に鏡を使って、自撮りを体験していただけたら、(セルフポートレートをした)私の気持ちも少し理解していただけるんじゃないかなという思いを込めて展示しています。
WWD:実際に写真展がスタートして反響は?
金村:始まる前は、自分が思っていることが伝わるか不安だったんですけど、SNSで写真展の感想を見ていると私が伝えたかったことがちゃんと届いているなと思う感想も多くて、すごくうれしかったですね。
WWD:写真展のタイトルの「みとめる」に込めた思いは?
金村:タイトルは結構悩みました。やっぱりタイトルってかなり重要なので、旅のことだったり、自分自身のことを箇条書きにして、いろいろと考えたんですけど、この「みとめる」が一番私っぽいし、意味がすごく合っていると思ったので、このタイトルにしました。
WWD:プレスリリースのコメントでは、「自信がなかった自分へのメッセージ」とありました。
金村:本当に自分への言葉でもありますし、見ていただいた皆さんへのメッセージでもあります。強い言葉ではなく、「少しでも自分をのことを認められたらいいな」っていうニュアンスです。私は、自分のことをすごく否定しがちな性格なので、今回の展示をこうして形にして、皆さんに見ていただいて、改めてしっかりと自分のことを認めることができたらいいなっていう意味を込めています。
ただ、今回の写真展はすごく自信のある作品に仕上がったなと思っているので、 それに関しては、「ほんとに全然自分なんか……」っていうよりかは、ぜひ見てほしいなっていう気持ちが強いです。
今後について
WWD:今後、写真家としてやってみたいことは?
金村:今でも写真の連載をさせていただいていますし、写真に携わる仕事もさせていただいて、すごく充実して、これ以上の幸せがあるのかという気持ちでいっぱいなんですけど、やっぱり自分の1st写真集(「羅針盤」)がすごく思い出深くて大好きなので、いずれまた違った形で何かしら本にできる機会があったらいいなとは思ってます。
WWD:普段はメンバーの写真も撮られていますよね。
金村:メンバーはいつ何時もかわいいのですが、よく撮ってるのはやっぱり楽屋とか舞台裏とか。そこはファンの方がなかなか見られない部分だと思うので、自然な姿捉えるべく撮影しています。近くで見られるのが私の特権なので(笑)。
WWD:今カメラは何台持っているのですか?
金村:3台です。デジタルが「ソニー」の“α7 III”をメインでずっと使っていて、あとはフィルムの一眼カメラ「コンタックス」の“Aria”とコンパクトカメラの「フジフイルム」の“NATURA S”も使っています。
WWD:好きな写真家はいますか?
金村:川内倫子さんと木村和平さんの写真は好きで、写真集も持っています。言葉がなくても、その写真から言葉を感じるというか、言葉で伝えなくても伝わるのが素敵だなと。落ち着いた雰囲気で、日常の風景なのに、すごくきらめいて見える。それは写真を通して見るからこんなに素敵に見えるんだなっていうのはすごく感じていて、自分の写真もそうでありたいなと願っています。
WWD:最後に日向坂46としての目標は?
金村:グループとしては、年末の東京ドームまでの全国ツアーがあるので、そこに向けてまずはたくさんの方に来ていただいて、成功させるというのが一番の目標というか、やるべきことかなって思っています。その先はまたみんなと話し合いをして、5期生も加入しますし、日向坂としてより高みを目指していきたいです。
PHOTOS:TAMEKI OSHIRO
■金村美玖 写真展「みとめる」
会期:9月10日〜10月6日
時間:12:00〜20:00(最終入館 19:30)
休日:水曜日
会場:New Gallery
住所:東京都千代田区神田神保町1-28-1 mirio神保町1階
料金:1000円
当日券販売対象期間:9月21日~10月6日
当日券販売日時:各日10:00から販売開始
当日券販売サイト
https://eplus.jp/kanemuramiku/
※6歳未満未就学児入場無料
※来場者特典:フォトカード(全5種ランダム/57mm×88mm)
https://newgallery-tokyo.com/mitomeru/