今秋、設立30周年を迎えたアダストリアの基幹ブランド「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」は2025年春、東京・銀座に990平方メートル超の路面旗艦店をオープンする。「アダストリアとしてグループ連結売上高5000億円を目指す中、基幹の『グローバルワーク』の規模拡大は必須」と木村治社長。「グローバルワーク」単独では30年2月期に、現在の規模(24年2月期516億円)から約2倍の1000億円を掲げており、そこに向け国内外で積極出店を進める。
「グローバルワーク」の店舗数は、24年2月末時点で国内203店、海外は台湾、香港に18店(どちらもEC出店含む)。これを、30年2月期には国内で270〜300店規模にする。海外は25年をめどに、「ニコアンド(NIKO AND…)」で先行するフィリピンやタイに進出し、市場の成長が著しい東南アジアで拡大を目指す。
手薄だった都心ターミナル立地に進出
国内では、従来から店を構えてきた郊外SCへの出店も加速するが、一方でこれまで手薄だった都心ターミナル立地にも進出する。銀座の旗艦店出店はその象徴だ。現在、郊外SCでは330平方メートル前後の店舗を中心としているが、「都心だからといって、それ以下の規模での出店はしない。品ぞろえも、都心用に新しい商品を企画することはせず、既存で展開するラインを編集することでさまざまな立地に対応する」と、太田訓 執行役員グローバルワーク営業本部長。既存の330平方メートル以下の店舗は、500〜660平方メートルを目指し、移転増床を進めていく。
30年2月期に掲げた1000億円のブランド売り上げのうち、海外店舗で100億円を目指し、国内は売り上げの20%強をECで取るという青写真を描く。ECの商品レビューや、店頭で客から吸い上げる声を生かして、“ウツクシルエットパンツ”(累計販売枚数400万枚超)や“アーバンスラックス”(同110万枚超)などに続くパワーのある主力アイテムを開発。そうしたレビュー分析などの仕組みは、今後海外でも行っていく。
アダストリアの24年2月期連結業績は売上高が前期比13.6%増の2755億円、営業利益は同56.4%増の180億円だった。中期経営計画では、26年2月期に売上高3100億円、営業利益224億円を掲げている。原料費や物流費が高騰する中でも、基幹の「グローバルワーク」は、客の声を生かし修正を重ねた主力アイテムの打ち出しや、価値に見合った値上げなどが奏功し、この間のアダストリアの成長のけん引役になっている。23年春に「グローバルワーク」からの派生として、地域密着型SCやGMSへの出店を意図して立ち上げたより値頃な「グローバルワーク・スマイルシードストア(GLOBAL WORK SMILE SEE STORE)」の進捗は、「ECは好調だが実店舗は計画未達」(太田本部長)という。