花王は11月2日、ハイプレミアムヘアケアの新ブランド「ジアンサー(THE ANSWER)」を立ち上げ、“スーパーラメラシャンプー”(400mL、1760円)“EXモイストヘアトリートメント”“EXグロスヘアトリートメント”“EXリペアヘアトリートメント”(各220g、1760円)を発売する。10月上旬から全国のロフト、ハンズ、アットコスメECサイトで先行販売し、11月からウェルシアグループや花王の公式ECサイトで発売する。
シャンプーとトリートメントに、美髪に必要な成分として、花王独自成分であるセラミドα(ブスメトキシプロピルアミドイソドコサン)、加水分解ケラチン、リンゴ酸、ラノリン脂肪酸、脂肪酸グリセリドα(オリーブ果実油)を世界で初めて同時配合した。これにより髪に必要な潤い、まとまり、艶、滑らかさ、しなやかさの5要素をかなえる。
シャンプーでは、ラメラ層にケア成分を蓄える“ラメラプラットフォーム技術”を新たに採用し、シャンプーに配合するのが難しいとされる脂質類のヘアケア成分を多量に配合。社内品と比較して、ラノリン脂肪酸やセラミドαといったヘアケア成分を約12倍配合した。
ヘアケア成分を多量に配合したことで美容液のような濃密なテクスチャーとなった。髪全体に塗り広げる“塗り洗い”でケア成分を浸透させてから、泡立てて洗う。「100年に及ぶ毛髪研究からたどり着いた最高傑作のシャンプー」とヘアケア第一事業部の野原聡ブランドマネジャーは自信をにじませた。
トリートメントは個々人のヘアダメージに合わせて失われた成分を補給する3タイプをラインアップ。摩擦や紫外線などの日常的なダメージには“EXモイストヘアトリートメント”、コテやアイロンなどの熱ダメージには“EXグロスヘアトリートメント”、カラーダメージには“EXリペアヘアトリートメント”の使用を推奨する。香りは全アイテム共通でベルガモット&ダフネの香りを採用した。
昨今の生活者は情報過多な時代に自分の髪質にあったブランドを探すことに疲弊し迷っていると分析し、そのような市場背景から「ジアンサー」と名付けた。パッケージは直感的に成分へのこだわりを感じられるよう、白とシルバーを基調として中央に成分名を記すことで、サイエンスの雰囲気を醸し出すデザインに仕上げた。
ヘアケア事業変革は順調
3日、都内でメディア向け発表会を実施し、同社のヘアケア事業の進捗やブランド開発の背景を説明した。
花王は今年2月に同社の中核であるヘアケア事業の変革を開始し、ハイプレミアム市場への参入とマスブランド「エッセンシャル(ESSENTIAL)」「セグレタ(SEGRETA)」「メリット(MERIT)」の立て直しに着手している。
24年春に実施した「エッセンシャル」のリブランディングは、ブランドメッセージの刷新、NewJeansを起用したCMやSNSのコミュニケーションを強化し、前年同期比20%増の売り上げを達成。10〜20代の獲得につながった。同時期にハイプレミアム領域初のブランドとして発売した「メルト」は、発売から9月までの期間で売り上げは計画比2.7倍と好調だ。10月から取り扱い店舗を倍以上に拡大している。
これらの施策が奏功し、24年第一四半期(1〜3月期)の決算で花王のインバスヘアケアマーケットシェアは9年ぶりにプラスに転じた。
「ジアンサー」では、「メルト」や「エッセンシャル」でためたデジタルマーケティングの知見を活用し、ターゲットとするヘアケア難民が正解を求めるデジタル上の検索動線に網を張る。新しい取り組みとして10月4〜31日、都内の31ヘアサロンと期間限定のコラボレーションも開始する。施術の体験と店舗での購入を展開する予定だ。
この秋にはプレミアムヘアケア“第三の矢”となる新ブランドのさらなる投入も計画する。ヘアケア事業の変革は “感性マーケティング”の考えに基づいており、これによりブランドが増えてもカニバリをなくすことができると考える。ブランドポートフォリオを6つの“感情”でマッピングした上で、ブランドによって異なる「感情のゴール」を設定し、それぞれパッケージや香りなどの体験設計に一貫性を持たせるというものだ。例えば、「エッセンシャル」であればポジティブやリフレッシュ、「メルト」であれば優しさや安心感。「ジアンサー」が目指す感情のゴールは、バランス、こだわり、調和だ。
「ジアンサー」はハイプレミアム市場で3位以内を目指し、ヘアケア事業全体としては現在の1.4倍の成長を目指す。マス市場ではすでにトップシェアを誇っているが、27年にはハイプレミアム市場においても「圧倒的なナンバーワン」に突き抜けたい意向だ。