スタイリッシュなラインで描かれた作品で多くの人を魅了しているアーティストの長場雄。作品はアーティストとしての展示に限らず、雑誌や広告、ファッションブランドとのコラボレーションなど、東京のみならず世界各地のさまざまな場所で見ることができる。東京という都会で生まれ感性を磨いてきた長場は、どのようにインスピレーションを受け、作品に昇華させているのだろうか? インタビューを通じて、そのクリエイティブを深堀りしてみたい。
長場がアトリエを構えるのは、都会とは思えないほど緑が豊かで、古風な趣のある閑静な住宅街。この場所や東京という街は、作品にどのような影響を与えているのだろうか。
── 現在、作品制作をされているアトリエを羽根木に選んだ理由を聞かせてください。
長場雄(以下、長場):都会育ちですが、子どもの頃から自然や緑を見るだけで気持ちがほっとしていました。例えば、街の中で大きな木が生えているのを見ると気分がよくなるような感覚がずっとあったんです。このアトリエは窓からの景色がすごくきれいで、四季をダイレクトに感じることができます。「こんなところで作業したい」と惚れ込んで、5年ほど前にこちらにアトリエを構えることにしました。デスクからは春には桜が見えて、秋は紅葉、冬は雪と、目の前で景色がいろいろと変化するので心が落ち着きます。リフレッシュできる環境としては作品作りにも大きな影響を受けていると思います。
── 自然豊かな場所なら郊外という選択肢もあると思うのですが。
長場:子どもの頃から東京に住んでいて都会で人の中にいたからなのか、人を観察するのがルーティンみたいになっているんですけど、僕は人物を描くことが多いので、街を歩く人たちのファッションはすごく参考にしていますね。みんなどんなファッションをしているのだろうかって。街を車で走っているときもたくさん見ることができるので、これは東京ならではかもしれません。古いものも好きですが、新しいものは自分を刺激してくれますよね。
自然に接し四季を感じることで穏やかなテンションを心掛けているという長場。彼の作品にもピースフルな雰囲気が漂う。一方で東京だからこそ、常にトレンドや時代の空気感といったものを感じやすく、敏感に作品に反映させている。後々古く感じてしまうことでも、その時の自分の気持ちを優先させてきたという。その作風についても聞いてみた。
── 長場さんの作品は、白黒のラインで描かれるシンプルながらも温かみのあるタッチが特徴ですが、どのようにしてこの作風にたどり着いたのでしょうか?
長場:今から10年ほど前はいろいろな作品を描いていました。言ってしまえば、何が自分の長所なのかはっきりとわかっていなかったんです。自分らしいものを描きたいと考えた時に、好きなものや嫌いなもの、持っているものや持っていないものなど、リストアップしながら必要なものと不必要なものを分けていきました。そうやって無駄な要素を削ぎ落としていった結果、線だけが残りました。色に関しても以前は相当使っていましたが、自分の長所を伸ばすためには邪魔になっているのかもしれないと考えて、思い切って削っていって今の作風になりました。
── 線や色使いの他に作品を作る上で、大事にされていることはありますか?
長場:自分の気持ちを大切にしています。作品制作は自分自身を改めて調べ直す作業にも近くて、それこそ好きや嫌いもそうですけど、自分の深い部分を探ってもいるんですよね。僕は今年で48歳。あと12年もすれば還暦です。そんなことを考えた時に、60歳を一つのゴールとして悔いのない人生を送りたい。今、描きたいものは何か、それをどう描きたいか、その気持ちを大事にしています。
“レンジローバー イヴォーク”(オートバイオグラフィー P300e)1036万円~
作品を作る時間と同様に運転することでも自己対話を続けてきたという長場。今回“レンジローバー イヴォーク”に触れて、現在の自分の作品と共通する点を感じたという。
── 作品制作で大切にしている時間はありますか?
長場:自宅とアトリエの往復で毎日片道30分ほど車に乗っているのですが、この時間が唯一の自分の時間でもあるので大切にしています。家だと家族の時間になりますし、アトリエではいろいろ作業をしないといけないので、作品について考えることってあまりないんですよ。だから車内は自分だけの空間というか、ストレスがない時間になっているかも。音も静かですし、運転することも気持ちがいいので。それこそ歩く人たちのファッションを観察しているように、車での時間は創作活動において良い時間になっています。
── ミニマルなデザインで、都市からの刺激を受けてアップデートされてきた“レンジローバー イヴォーク”ですが、ご自身と共通点を感じる部分はありますか?
長場:すごく主張するデザインではなくてサイズ感的にもちょうどいい大きさでしたので、そういう意味では街中に溶け込んでいる感じがしましたね。内装がすっきりとシンプルなのもいい。モニターやハンドル周りにいくつも役割を持たせながらも、煩雑ではなく感覚的に操作ができます。印象としては、1本の線に複数の役割を与えているようなイメージ。そういった点では、無駄な要素を削ぎ落とした今の作風とも共通しているかもしれないですね。
アニマルフリー素材のシフトレバーやシートの感触も心地よかったです。車体の絶妙なブルーと、ルーフやロゴのカラーコンビネーション、そして車内空間は広々と快適なのに外から見ると小さくてスタイリッシュな窓も都会的センスを感じました。
── 最後に今後アーティストとしてどうなっていきたいですか?
長場:大きな目標というものではありませんが、自分自身を探った時に気づいたことや自分がやりたいと思ったものはキャンバスにしっかりとアウトプットして残していきたいです。そして観てくれた人に、こんな人間がいたんだって感じてもらえたらうれしいですね。
2010年代からアートシーンに身を置き、日本の大都会、東京に生まれ育ち、刺激を受けて、世界に作品を発表してきたアーティスト、長場雄。ひたすらに自分と向かい合い、ひとつの答えを自分での手でつかみ取った──。無駄を削ぎ落としシンプルであること。それは、同じく都市の刺激を進化に変えてきた“レンジローバー イヴォーク”の洗練されたデザインと共鳴するポイントだ。シンプルであるからこそ、人の心を揺らす美しさ。そのことを両者は知っている。
“レンジローバー イヴォーク”は、進化と変化を続ける都会からインスピレーションを受けて誕生した人気コンパクトSUV。2011年にラグジュアリー・コンパクトSUVとしてデビューし、2019年にはフルモデルチェンジをしてさらなる進化を遂げた。その特徴はクーペスタイルのシルエットとシンプルで無駄のない内外装デザイン。さらにノンレザーのサステナブルな素材を採用したシートや、80kW電動モーターとインジニウムガソリンエンジン両方の長所を組み合わせたハイブリッドテクノロジーも搭載している。まさに、都会のライフスタイルに寄り添ったスタイリッシュで魅力的な1台だ。