こちらの記事を読んで、1つの時代の終わりを改めて悟りました。ラグジュアリー・ストリートという、その名のごとくメード・イン・イタリーなどでラグジュアリーに仕上げたストリートスタイルの終焉です。
あくまで推測になりますが、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」(以下、オフ-ホワイト)を売却する米ブランド管理会社ブルースター・アライアンス(BLUESTAR ALLIANCE)は、「ハーレー(HURLEY)」や「スコッチ & ソーダ(SCOTCH & SODA)」「ビービー(BEBE)」などのブランドを手がけています。いずれも、デザイナーズブランドではありません。かつてデザイナーズと呼ばれていたブランドで保有するのは、「キャサリン・マランドリーノ(CATHERINE MALANDRINO)」や「ナネット・レポー(NANETTE LEPORE)」など。ちょっと調べてみましたが、「キャサリン・マランドリーノ」にかつてのブランドやデザイナーの面影は見えず。「ナネット・レポー」に関しては、今は無縁であろう創業デザイナーの個人アカウントしか見つけられませんでした。
おそらく「オフ-ホワイト」も、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の面影は次第に薄れ、ロゴやグラフィックだけが残るライセンスブランドのような性格を強めることでしょう。私はイブラヒム・カマラ(Ibrahim Kamara)=アート&イメージディレクターもブランドを去るのでは?と予想するし、そもそもデザインチームを筆頭に現行の組織が続くかも懐疑的です。「ラグジュアリー・ストリート」と呼ぶにふさわしい素材や生産体制を維持するのか?も怪しいところ。だって「キャサリン・マランドリーノ」のワンピースを130ドル(約2万円)で売っているようなメーカーがシナジーを発揮するのであれば、その生産体制は明らかに今の「オフ-ホワイト」のそれではないでしょう。「オフ-ホワイト」が今のようなブランドであり続けられるとしたら、同ブランドを立ち上げ、今もライセンス契約に基づいて運営パートナーとして携わっているニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)が引き続き中核を担う必要がありますが、同社を擁するファーフェッチ(FARFETCH)は経営破綻の危機に陥り、韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)に身売り。そのクーパンも業績が低迷しているため、ニューガーズグループなどの資産を売却する可能性が取り沙汰されています。今の「オフ-ホワイト」を望む身からすると、ちょっと“詰んだ”感がありますね……。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。