「グローバル・ガールズグループ」を標榜し、世界から注目される7人組日本人グループのXG。彼女たちが所属するXGALXのCEO兼エグゼクティブ・プロデューサーを務めるJAKOPS(SIMON JUNHO PARK、以下、SIMON)が「WOKE UP REMIXX(PROD BY JAKOPS)」を発表した。原曲は5月にXGがリリースしたラップソングで、今回発表したリミックス曲はXG初のワールドツアー“ザ・ファースト・ハウル(The first HOWL)”内でサイモンがキュレーターとしてプレイしたことで話題を呼んでいた。
同曲の参加アーティストは、日本からAKLO(アクロ)、Awich(エイウィッチ)、OZworld(オズワールド)、VERBAL(バーバル)、韓国からDok2(ドッキ)、Jay Park(ジェイ・パーク)、Paloalto(パロアルト)、Tak(タク)の8名。日韓から豪華な顔ぶれが揃って生まれ変わったこの楽曲制作の経緯とは?サウンドプロデュースを担当した「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の10周年ショーで楽曲演出をするため、パリへの渡航を控えたSIMONに話を聞いた。
──9月20日に、「WOKE UP REMIXX(PROD BY JAKOPS)」が配信リリースされました。「WOKE UP」のリミックスバージョンを制作した経緯を教えてください。
SIMON:「WOKE UP」は、XG初のフルラップの楽曲。MCやヒップホップのカルチャーに向き合いつつ、自分たちらしさを表現した曲です。その世界観を拡張し、深めたいという思いで今回のリミックスを制作しました。
「WOKE UP REMIXX(PROD BY JAKOPS)」
──参加アーティストは、日本からAKLO、Awich、OZworld、VERBAL、韓国からDok2、Jay Park、Paloalto、Takの8名です。日韓から豪華なラッパーが集いましたね。
SIMON:僕は韓国人の父と日本人の母の間に生まれ、シアトルで育ちました。JAKOPSというプロデューサー名も「“JA”pan(日本) +“KO”rea(韓国) + “P”roduced by “S”imon」という由来から名付けています。日本と韓国には素晴らしいヒップホップシーンがあるので、それぞれのラッパーと楽曲の世界観を共有しながら素敵なラップを入れて作り上げたいと思い、この8名に声をかけました。
──それぞれどんな経緯で参加されたのか教えていただけますか?まずはAwichさんとOZworldさんから。
SIMON:AwichさんはXGのライブにも来てくださり、応援してくれていた経緯があります。その気持ちが嬉しかったですし、楽曲はもちろん、彼女のルーツやストーリーに共鳴し、作品に参加していただきました。OZworldさんは自分のSNSをフォローしてくださっていて、同じく楽曲やストーリーに共鳴し、参加に繋がりました。
──VERBALさんとAKLOさんはいかがですか?
SIMON:自分と似た背景を持ち、中学生の頃から音楽性に魅了されてきたVERBALさんにも参加してもらうことで、楽曲により広がりが出ると感じ、オファーしました。AKLOさんは日本とメキシコのミックスで、2012年頃にYouTubeでお見かけし、いつか一緒に制作をしたいと思っていました。約8年前にコンタクトをとり、そこからよく音楽の話をして交流しています。今回はラテン系のスタイルでラップを披露してくださって、しびれました。
8人の才能を結びつけたのは、多様なルーツとストーリー
──韓国から参加した4名も、多彩な顔ぶれです。
SIMON:Jay Parkさんと僕は、アイドルグループ出身でシアトル生まれという共通点があります。現在は韓国のヒップホップシーンに多大な貢献をされていて、アーティストやレーベル代表のほか、様々な活動をされていてリスペクトしています。昔からXGALXを応援してくれていて、「XG、めっちゃかっこいいです!」と直接伝えてくれて嬉しかったです。
──Paloaltoさんはいかがですか?
SIMON:Paloaltoさんは韓国を代表するラッパー。僕が以前に作業部屋を構えていた開浦洞をホームタウンにしている方です。僕がプロデューサーとして駆け出しの頃、すでに彼は偉大な存在でしたが、フィーチャリングのオファーをしたところ快く応じてくれました。その曲自体は未発表ですが、それがプロデューサーとしてのデビュー作であるジョンギゴ(Junggigo)の「너를 원해 (Feat. Beenzino) 」(英題: Want U)につながり、チャート1位をとったんです。だからPaloaltoさんにはずっと恩を感じていて。「K-POPもJ-POPも関係ない」という主旨の、共鳴できるリリックを書いてくれて感動しました。
──SIMONさんと共通点や縁がある方も多いですね。
SIMON:そうですね。残る二人はTakさんとDok2さん。Takさんはぺチギ(Baechigi)というヒップホップデュオ出身の方です。以前は僕の作業部屋によく遊びに来てくれて、楽曲提供をしたこともあります。最近あまり活動をしていないのですが、今回の依頼には「XGヤバいね!サイモンには恩があるからもちろんやるよ」と言ってくれて、Takさんらしいクールなチョッパースタイルのラップをしてくれました。Dok2さんはスペイン、フィリピン、韓国のミックスで、韓国のヒップホップシーンの基盤を作った人物の一人。僕が思う「本質」に近いものを楽曲にプラスしてくれると思ってオファーしたところ、快く引き受けてくれました。近々またLAで会う予定です。
──こうして8人のプロフィールを見ると、さまざまな国や地域のルーツを感じます。
SIMON:国籍とは関係のない作品だけど、国籍と関係がある、参加者それぞれの文化が表現されている曲ですね。
コラボレーションのもたらす効果と可能性 今後の展望
──過去にはシアラ(CIARA)、リコ・ナスティー(RICO NASTY)、ジャクソン・ワン(JACKSON WANG)をフィーチャリングに迎えたこともありましたし、XGは今後もさまざまなアーティストとコラボレーションしていくと思います。こうしたコラボは、XGのプロデュースにどんな影響を与えていますか?
SIMON:ポジティブなことしかないでしょう。メンバーも共鳴して、非常に良い刺激を受けています。現代の文化に対する筋肉が、ネガティブ動作とポジティブ動作の連続によって、活性化するようなイメージ。さらに健康体になれます(笑)。
──ちなみに先日、「パリ・コレクション」で行われた「アンリアレイジ」の10周年ショーで、サイモンさんはサウンドプロデュースとショーの楽曲演出を担当されました。取材している現在は渡航直前というタイミングですが、意気込みはいかがですか。
SIMON:初のパリコレは楽しみです。全てを吸収して、XGALXを広げていきたいですね。今後は、XGもこのようなグローバルなファッション関連の祭典に招待されることもあるのでは、と思っています。その事前調査のつもりで、たくさん経験して、さらに新たな表現ができるプロデューサーになりたいと思っています。
HAIR&MAKE: MIU(KIND)
PHOTO: MIKA HASHIMOTO