10月9日(現地時間)、ニューヨークのメトロポリタン美術館は、2025年5月10日から10月26日まで開催する特別展のテーマを発表するとともに、5月5日に開催する「メットガラ(MET GALA)」の共同ホストを公開した。
今年のテーマは“スーパーファイン:テーラリング ブラック スタイル(Superfine: Tailoring Black Style)”。モニカ・L・ミラー(Monica L. Miller)の2009年の著書「Slaves to Fashion: Black Dandyism and the Styling of Black Diasporic Identity(原題)」をもとに、18世紀の啓蒙時代のヨーロッパから現代までの、アフリカ系移民のアイデンティティー形成におけるファッションの重要性にフォーカスする。キーワードは本の題名でもある“ブラック・ダンディズム”。展覧会ではアクセサリーや絵画、写真などを通して、長年ブラックカルチャーに受け継がれてきたダンディズムを探っていく。
「メットガラ」のホストも公開
展示と連動して開催するイベント「メットガラ」で共同ホストを務めるのは、スポンサーでもある「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ・クリエイティブ・ディレクター、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)、F1レーサーのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)、歌手のエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)、俳優のコールマン・ドミンゴ(Colman Domingo)ら黒人男性と、米「ヴォーグ」編集長のアナ・ウィンター(Anna Wintour)。
ウィリアムスは今回の抜擢について「アフリカ系移民が後にアメリカとなる国へと拡大した影の中で生まれ育ったアーティストとして、“ブラック・ダンディズム”と“アフリカン・ディアスポラ(民族離散)”に関する展示会を祝うことができるのは非常に感慨深く、まさに夢にようだ」と語る。
さらに、「私たちはおそらく最も激しい苦難や試練の時代の生き残りである。生き延びただけでなく、音楽、文化、美しさ、そして普遍的な言葉を、4世紀を越えて海を越えて運んできた。私たちはそれを私たちのものとして守り、世界に与え続けている。今回『メットガラ』が祝福するのは、私たちの贈り物、私たちの歴史、私たちの精神力、私たちの美、私たちのスタイル、私たちの強さ、私たちの作家性だ。私たちはかっこよく、ダンディで、見応えがある。つまり博物館なのだ」とコメントした。
キュレーターアンドリュー・ボルトンのコメント
コスチューム・インスティテュートのキュレーター、アンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)は今回のテーマについて「メンズウエアは今勢いがあり、ルイスやファレルのような、自分たちの過去や伝統について考えている黒人デザイナーたちがその流れをリードしている。それは進化する歴史であり、そんな中で私たちにとって重要なのは、18世紀半ばからの“ブラック・ダンディズム”を文脈化することだと考えている」と話す。
さらに今回黒人のダンディズムに関するショーを行うことは、コスチューム・インスティテュートのコレクションとテーマを結びつけると同時に、「ダンディズムの不在の物語を伝え、ダンディズムの歴史における多くの黒人男性の貢献を示すものでもある」と語った。