2009年から続く「WWDBEAUTY」のベストコスメ特集では、バイヤーのアンケートをもとに本当に売れた商品を表彰する。連載「ベスコス歴代名鑑」では、15年以上続く本特集の中でも常にランキングに入賞する“傑作”をピックアップ。時代を超えて愛される理由や商品の魅力について、美容ジャーナリストの加藤智一が深掘りする。今回は「ランコム(LANCOME)」の美容液“ジェニフィック アルティメ セラム”にフォーカス。
2009年に発売したランコムを象徴する美容液、“ジェニフィック”の最も輝かしい功績は「導入美容液」という、まったく新しいスキンケアルーティンを生み出したことにある。
日本人女性の好みに合わせて独自開発
“ジェニフィック”が洗顔後すぐ使うプロセスになったのは、初代のスター成分であるビフィズス菌抽出エキスが配合されていたことと、そのみずみずしく浸透感のあるテクスチャーにある。当初、発売する予定だったグローバル版“ジェニフィック”は欧米人が好きなつるんとした膜感のある仕上がりの美容液だったが、日本人女性はみずみずしいテクスチャーが好きなことから独自のフォーミュラを開発。加えて、洗顔後すぐにつけたほうがビフィズス菌抽出エキスのパワーを実感できることから、通常なら化粧水後に使う美容液を「洗顔後すぐに使う」というステップで提案することに。すると、その斬新な使用手順と高い効果実感が相まって、発売後たちまち話題に。ほどなくして「導入美容液」という新しいカテゴリーを創出するに至ったのだ。“ジェニフィック”はそのカテゴリーをけん引する革新的象徴になった。
“発酵”を打ち出したキャンペーンで追い風
その後、追い風となったのが16年に行った“発酵”を前面に打ち出した広告キャンペーンだ。13年にリニューアルした時、ビフィズス菌に加え、酵母菌エキスを追加したことで、「発酵エキスが美肌をつくる」というキャンペーンを行ったが、それが今まで外資系ブランドに興味が薄かった層にリーチ。加えて、17年から18年にかけてリリー・コリンズ(Lily Collins)、ペネロペ・クルス(Penelope Cruz)、ケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)を起用したグローバルキャンペーン「”Love Your Age”ラブユアエイジ」がさまざまなメディアで取り上げられたことでブランドの認知が拡大。年齢にとらわれず、自信をもって輝いてほしいという前向きなブランドメッセージが多くの日本女性の共感を喚起した。
19年には3代目“ジェニフィック アドバンスド N”として、肌の常在菌にアプローチするべくアップグレード。これまでの発酵エキスに加え、美肌菌をサポートする成分が加えられたことにより、「肌が強くなる」「肌力を底上げする」という評価がさらに加わったことで、「ジェニフィックといえば美肌菌」という認知が定着した。
4代目の発売でさらなる飛躍を狙う
そして初代の発売以来、累計販売数300万個を突破した“ジェニフィック”美容液は、24年、4代目となる“ジェニフィック アルティメ セラム”を発表。新たに肌の回復力にフォーカスし、日々の紫外線や外的刺激のダメージを回復させることが美しさのカギと提唱した。これまでの美肌菌ケアに加え、肌をスピーディに回復させるβグルカンを投入したことで、より揺るぎのない美肌づくりへとフェーズを進化させている。加えて、ヘビーユーザーが望んでいた、詰め替えサイズのレフィルも新たに開発。肌に寄り添うエッセンシャルな美容液として、また、ランコムを雄弁に語るブランド美容液として今後も大きく展開していく。