モノや情報が溢れ、目新しいデザインを生み出すのが難しい今、ファッションに面白みをもたらし、未来を切り拓くのはデザイナーたちの飽くなき探求心とユニークな視点。今シーズンは、「サカイ(SACAI)」や「ロエベ(LOEWE)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を筆頭に、新たなシルエットと構造へのアプローチが際立った。その意欲的なクリエイションの背景を探る。(この記事は「WWDJAPAN」2024年10月14日号からの抜粋です)
「サカイ(SACAI)」
原点を見直し生み出す
斬新なシルエット
ブランド設立から25年。原点を見直しながら現代的に再解釈し、「サカイ」の新たなアーキタイプ(原型)を生み出すことに挑んだ。こだわったのは、誰もが1着でドレスアップできること。ブレザーやトレンチコートをアレンジしたドレスは肩や背中の生地をずらして前に持ってきたかのようなデザインで、浮いた生地が立体的なラッフル装飾になる。一方、モッズコートは胸より上の生地を肩から剝がすようにして垂らすことで、オフショルダー風に。“みんなが知っている”定番アイテムをベースにしながら、“みんなが知らない”シルエットでエレガンスを描いた。
「ロエベ(LOEWE)」
そぎ落として際立たせる
軽やかなフレアシルエット
「あらゆるノイズを取り除いたとき、何が起きるのか?」という疑問を起点に、徹底的にそぎ落とすことでシルエットにフォーカスした。キーアイテムは、軽量のクリノリンやワイヤーを内蔵したシアーなシルクジョーゼットのフープドレス。モデルの動きに合わせてはずみ、裾がヒラヒラ揺れる姿が軽やかで美しい。そのほか、ミニドレスやスカートからバイカージャケット、トップスまで、今季はフレアシルエットが中心。薄く削ったマザー・オブ・パールを貼り合わせたミニ丈のコートドレスや、名画をハンドペイントしたフェザーのTシャツには、「ロエベ」ならではのクラフト技術が光る。
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