花王の「ソフィーナiP(SOFINA IP)」は10月26日、ナイトクリームの新製品“ゴールデンタイムリペア 深夜浸透クリーム”(55g、2970円/レフィル55g、2640円※編集部調べ)を発売する。
同ブランドは昨秋に“総合皮膚科学スキンケアブランド”としてリブランディングし、主力商品の土台美容液“ベースケア セラム”(90g、5500円※編集部調べ)をリニューアル。さらにブランド初の化粧液“角層トリートメント”(160mL、2420円※同)、目元や口元など部分用美容液“うるおい高密着ショット”(10g、1980円※同)、シワ改善効果のある“ハリ注入弾力美容液”(40g、4730円※同)と全顔用美容液“ムース セラム WB”(90g、6380円※)を立て続けに発売し、スキンケア商品のラインアップを一気に拡充した。“ゴールデンタイムリペア 深夜浸透クリーム”はこの1年で5つ目の新商品となる。
土台美容液は
“名脇役”な働きがヒット要因に
売れ筋となった要因の1つが、“名脇役”ともいえる土台美容液というコンセプトにある。日本においては化粧水、乳液、美容液(もしくはクリーム)の3ステップが基本となっているスキンケアだが、すでにデパコスなどの愛用品でライン使いを固めている消費者に乗り換えを促すのは難しい。その点、“土台美容液”はお気に入りのスキンケアルーティンの最初のステップに手軽にプラスワンすることで、シワ改善効果を上乗せできる。デパコスの美容液などと比較すれば値ごろな価格も、ヒット要因になった。
スキンケアの3ステップに食い込む
花王は「ソフィーナ iP」の売上高を2027年に2倍(22年対比、出荷金額ベース)とすることを掲げている。ただ、シミ予防以外のニーズや競合商品が年々増えるにつれ、“ベースケア セラム”を入り口とした新客獲得の伸びは、当初と比べれば鈍化している。今後は、土台美容液のイメージが強すぎたがゆえの一本足打法から脱却し、ベーシックなスキンケアの3ステップ(化粧水、乳液、美容液&クリーム)に食い込んでいけるかがカギになる。この1年での新商品の大幅拡充の狙いもそこにあるのだろう。
“ゴールデンタイムリペア 深夜浸透クリーム”の発売により、クリームを使ったスキンケア習慣になじみのある海外客の取り込みも期待できそうだ。ただアジア圏を中心とした海外展開もにらんではいるものの、インバウンド客の需要も現状は限定的であり、まずは日本人客にプライオリティーを置いた販売戦略を練る。南部有俊 iP/SOFINAグループシニアマーケターは、「サイエンスをベースとした機能性やエイジングケアニーズへのアプローチで、売り上げのパイを着実に増やしていきたい」と話す。