ビジネス

Z世代に支持されるSNS、BeRealが広告表示を開始 Voodoo傘下で収益化目指す

今年6月にフランスのゲーム会社Voodooに買収されたBeReal(ビーリアル)は、利用者の64%が20歳未満(今年9月時点)という若いユーザーから圧倒的支持を集めるソーシャルプラットフォームだ。ユーザーの81%が毎日投稿を行い、他のソーシャルプラットフォームと比較し高いエンゲージメントを獲得している。

Voodoo傘下になったBeRealの舵を切る新CEOは、VoodooでSNS関連サービスをけん引してきたアイメリック・ロフェ(Aymeric Roffe)。Voodoo傘下になったことで、より経済的に安定し、幅広いネットワークを持ったBeRealは、今後も躍進的なアップデートを続けることだろう。実際に7月には広告機能を追加し、「広告がないSNS」というBeRealのイメージを覆した。その意図や特徴について、ロフェCEOが回答してくれた。

PROFILE: アイメリック・ロフェ/BeReal CEO

アイメリック・ロフェ/BeReal CEO
PROFILE: PROFILE:幼い頃からテクノロジーに関心を持ち、14才の時にプログラミングを学び始める。Voodooの子会社Wizzを立ち上げた。今年6月にVoodooが買収したBeRealの新CEOに就任

Voodoo傘下になったBeReal
買収の背景とメリット

WWD:BeReal買収とCEO就任の経緯とは?
アイメリック・ロッフェ=BeReal CEO(以下、ロフェ):BeRealは成長を続ける中で、経済的に持続可能な未来を築く経験を持つ企業と提携することが大きなメリットになると考えていた。その企業こそがVoodooであり、それ以来、私達は共に前進し続けることを決めた。両社は価値観やZ世代へのアプローチが一致しており、タイミングも絶好の機会だったため、買収はうまく進んだ。

Wizzでの経験や、ソーシャルメディアプラットフォームへの情熱が、CEO就任の決断を容易にした。私はBeRealが業界にもたらす従来とは異なるソーシャルメディアの視点に共感している。現代において本物の、そしてリアルなつながりを見つけることの重要性を強く感じてきた。この挑戦を引き受けられることは大変光栄であり、今後がとても楽しみだ。

WWD:買収により、VoodooとBeRealが受ける恩恵とは?
ロフェ: BeRealの強みは、ユーザーに新しい挑戦をさせるパワーにある。ありのままの自分を見せ、本物のつながりを作り、ソーシャルメディアに対して恐れずに挑む姿勢を促している。一方でVoodooは、ユーザーの増加計画や収益戦略の構築、そしてこれらをユーザー体験を損なうことなく実現することに貢献できる存在だ。そこにこそ、VoodooがBeRealを次のレベルへ引き上げる大きな役割があると感じている。

逆にBeRealはVoodooに新たな専門知識と新たなオーディエンスをもたらしてくれるだろう。BeRealのデータベースによりZ世代のニーズをより理解し、どのように彼らに向けたサービスを提供し成長させていくかを学ぶ貴重な機会を得られる。そのため、今の私達の焦点はBeRealの独自性を保ちながら成功させることである。

7月に追加した新機能
“インフィードネイティブ広告”

WWD: 新体制が掲げる目標とは?
ロフェ:現時点では具体的な数字を伝えることはできないが、まずはユーザー数の増加や収益の確保を視野に入れている。BeRealは、友達と一緒に楽しむことでより良い体験が得られると信じているため、引き続きユーザーベースの拡大を図る必要がある。

WWD:7月に導入した広告機能の特徴とその強みとは?
ロフェ:BeRealの広告に対するアプローチはとてもユニークで、競合他社とは一線を画していると思う。最大の特徴は、アプリの機能と投稿形式の両方において“リアル”を大切にしている点だ。通常投稿と同様、広告も前後のカメラで撮影したようなフォーマットを採用している。従来の広告とは違うスタイルで、ユーザーとより深くつながる機会を提供したい。1日限定で広告枠をすべて買い切ることができるプランも展開している。

WWD:現時点でどのような人がBeRealの広告機能を利用し、どのような反響を得ているのか?

ロフェ:現在は主にZ世代をターゲットにした様々な業界のブランドやサービスと提携している。BeRealのユニークな形式は、ユーザーとブランドがコミュニケーションを取ることで高い熱量が生まれることだ。日本ではNetflixと初のキャンペーンを行い、他のプラットフォームではなかなか得難い高いクリック率を達成した。このように、企業がBeRealのコンセプトやスタイルを上手く活用すれば素晴らしい結果を得ることができる。

WWD:広告機能をつけることで、既存のファンを失う可能性はないのか?
ロフェ:私たちが注力している広告は、独自の形式と信憑性を大切にする姿勢を活かしており、ユーザーが普段目にする広告とは違った体験を提供している。例えば、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のBeReal投稿を見られるとしたら、ユーザーはそのバッグがどのように作られているかを知ることに興味を持つだろう。従来の広告とは違う感覚で受け止めるため、ユーザーをがっかりさせることはないと考えている。これこそが我々が広告を行う意義だろう。

日本での広告事例はまだ少ないものの、若い世代に向け圧倒的な影響力を持つBeReal。すでに一部の企業では、この“インフィードネイティブ広告”を活用したプランの提案をスタートしている。

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