ムートンシューズの「アグ(UGG)」やスポーツブランド「ホカ(HOKA)」を擁する米デッカーズブランド(以下、デッカーズ)の成長が著しい。2024年3月期業績は、売上高が前期比18.2%増の42億8800万ドル(約6389億円)、営業利益は同42.0%増の9億2750万ドル(約1381億円)を達成。コロナ前(20年3月期)の売上高21億3300万ドル(約3178億円)に対し、規模は倍になっている。(この記事は、「WWDJAPAN」10月21日号からの抜粋です)
同社の基幹ブランドであり、2000年代に大ヒットした「アグ」が、“Y2K”トレンドに後押しされて伸びていることも貢献しているが、最大のけん引役は12年9月に買収した「ホカ」だ。24年3月期の「ホカ」単独売上高は、前期比27.9%増の18億700万ドル(約2692億円)。近年の成長率を当てはめれば、「アグ」(24年3月期は前期比16.1%増の22億3900万ドル=約3336億円)を抜き、デッカーズの一番手ブランドとなる日は近い。「ホカ」が“その他ブランド群”扱いを抜けて、単独売り上げを初めて公表したのは18年3月期の1億5350万ドル(約228億円)。以来、6年で10倍以上に伸びた。
「ホカ」は09年に、ニコラス・マーモッド(Nicolas Mermoud)とジャン・リュック・ディアード(Jean-Luc Diard)がトレイルランニングシューズを開発したのが始まり。ソールが薄く軽いシューズが全盛だった時代に、分厚いロッカー形状のソールといった当時としては奇抜なアイデアを持ち込み、今となってはそれがロードでもトレイルでもランニングシューズの当たり前になった。このように、前例にとらわれないイノベーション(技術革新)でパフォーマンス性能向上に向き合う姿勢が「ホカ」の持ち味。同じく、イノベーション重視のスイス発スポーツブランド「オン(ON)」などと共に市場を広げ、それが、イノベーション不足が指摘されるナイキの不調を招いたとする報道は多い。
一方、「テバ」は2ケタ減
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