高島屋は業務提携をしている阪急阪神百貨店と共同で10月23日〜11月12日、新プロモーション「マイプレシャスジュエリー」を開催する。 “1”が4つ並ぶ11月11日を“自分だけの特別なジュエリーとの出合いを楽しむ日”として提案。カラーストーン、アイコニックデザイン、存在感のあるフォーム、ポップなモチーフと4つのテーマを設け、23ブランド、約70点のジュエリーを高島屋各店とEC、阪急うめだ本店と阪神梅田本店で販売する。このイベントは夏に行った“七夕”をテーマにしたジュエリーイベントに続く企画。七夕のイベントが前年同期比2ケタ増と好調だったため、冬のホリデー商戦として開催する。高島屋MD本部 婦人雑貨の木谷文香担当バイヤーに話を聞いた。
ホリデー前に“自分だけの”ジュエリー提案で自家需要を取り込む
ファッションジュエリーはコロナが明けてから需要が伸びて、どの百貨店も好調だ。「いいものを長く使いたい」という消費者心理の変化や金価格の高騰、ラグジュアリー・ブランドによるバッグや小物類の相次ぐ値上げなどの影響により、ファッションジュエリーがご褒美需要の選択肢の一つになっている。年間のジュエリー商戦の山場といえばクリスマスだが、ギフト需要の減少や高級コスメなど選択肢の広まりにより、以前ほどの勢いがない。とはいえ、ボーナス時期でもあるし、夏に比べると1年頑張った自分へのご褒美といった自家需要が盛り上がる時期だ。木谷バイヤーは、「12月の売上高は、前年クリアを予測。ホリデー商戦は盛り上がりに欠けるため、年間を通して売り上げが取れればと思いイベントを企画した。七夕のイベント同様、売上高は2ケタ増を目指す」と話す。各ブランドの強みによりテーマを棲み分けて、アクセサリーからジュエリーまで幅広く提案。しかし、プレホリデーということもあり、10万〜30万円と夏のイベントよりは高額品に注力した。「1が並ぶ特別感のある日に、とっておきの“自分だけ”のジュエリーを見つけてもらうのが目的。着けることで高揚感を得られたり、元気づけられたりするようなジュエリーとの出合いを提案したい」と同バイヤー。色石を選んでオーダーする“自分だけの”ジュエリーの提案も行い、クリスマスや年始の商品の受け渡し時の購入も見込んでいるという。
ジュエリー購入の動機付けとモノ以上の付加価値を提供
高島屋では、夏の七夕のイベント後に、8月10日を“ハートの日”として大切な人へジュエリーを贈るプロモーションを企画。今後も、継続的にプロモーションを開催していくという。「ジュエリーは洋服などと違い物理的に小さいので、見てもらえるような工夫や仕掛けをしないと目に入らない。だからどんどん仕掛けていきたい」と木谷バイヤー。ジュエリーは貴金属で、ある意味、贅沢品のため、ほとんどがショーケースに入っている。店内を歩いていても「見よう」と思わなければ自然と目には入ってこない。「ジュエリーの存在に気付いてもらい、購入の動機付けをすることが大切。贅沢品だが、特別要素をプラスことで需要を喚起したい」。イベントでジュエリーに関心を持ってもらい、新たな発見や販売員との会話により顧客とのつながりが生まれる。
七夕のイベントを開催したのは、一粒万倍日で財布業界が盛り上がった背景があるから。それが、ジュエリーにも派生し、一粒万倍日にブライダルリングを購入する人もいるそうだ。“一粒万倍日=幸運を呼ぶ”と“七夕=星に願いを”という要素に親和性があり、“星座石=自分だけの”というパーソナルな点も自家需要にマッチした。「誰もが幸せになりたいという消費者心理に響く仕掛けをしたい。モノ自体の魅力もあるが、購入により得られる幸福感が付加価値だ」と木谷バイヤー。ジュエリーは、“お守り”“願い事”などパーソナルな思いと親和性が高い商材だ。今後は、多様化するライフスタイルや価値観にフォーカスしたジュエリー提案の企画を予定しているという。