2025年春夏のミラノ&パリを通して取材すると、ケリング(KERING)傘下6ブランドの洋服のクリエイションが冴えていることがよく分かる。6つのブランドはいずれも洋服の可能性を信じ、6人のクリエイティブトップはそれぞれのやり方で“まだ見ぬ未来の服作り”にまい進。結果、6者6様のブランドに進化しつつあり、一般的には価格やテイストなどを縦軸や横軸としたマップに各メゾンを配置することで作るブランドポートフォリオが独自の形で完成しつつある印象だ。6人の才能や個性、長所を見出し、自由なクリエイションを認める企業哲学さえ垣間見える。6ブランドの最新コレクションから読み解いてみた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年10月28日号からの抜粋です)
BALENCIAGA
デムナ(Demna)/「バレンシアガ」アーティスティック・ディレクター
創業者クリストバルの哲学を
現代のスタイルに詰め込む
「バレンシアガ(BALENCIAGA)」には、3つの特徴がある。まず1つは、デムナの洋服に対する強い愛。彼は愛ゆえ、創業者クリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)の哲学、時には既成概念を超越するから違和感を覚えるほどの新たな美を確立することに挑んで特異なシルエットを現代のスタイルに落とし込みながら、“まだ見ぬ未来の服作り”にまい進する。2025年春夏コレクションのランウエイは、巨大なテーブル。ハサミで切った紙の洋服を家族に披露していたダイニングテーブルを思い出しながら、デムナはクリストバルのコクーンシルエットをクロップド丈のブルゾンなどのストリートアイテムで表現。隙間に体を滑らせると骨組みで体に無理なくフィットするという、 “着ける”洋服まで生み出した。
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「バレンシアガ」のクリエイション分析
クリストバルのレガシーを現代的なストリートスタイルで継承するのが、オリジンを想起させる伝統的なスタイルを連打する「サンローラン(SAINT LAURENT)」との大きな違いだ。スニーカーやキャップなど、新エントリーアイテムの開発もうまい。
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