インドを拠点にOEM事業を手掛けるソハナ(東京、伊藤賢司代表取締役)は、新たなウィメンズ向け自社ブランド「フィルムス トレーズ(FILMUS13)」を2025年春夏シーズンに立ち上げる。元マッシュスタイルラボで、「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」の商品企画に携わった経歴を持つ、浅井美恵がデザインを担当する。トレーサビリティーの取れた生産背景と、天然素材・天然染料を使った環境負荷の低さを強みに、世代を超えて着続けられるウィメンズウエアを届ける。自社ECサイトをはじめ、「シップス(SHIPS)」や「ジャーナル スタンダード(JOURNAL STANDARD)」などで25年3月から販売する。
商品はインドで縫製・染色する。染色はオーガニックテキスタイルの国際認証GOTS認証を取得する染色工場トゥルートーンインク(True Tone Ink)と協業し、工業が独自に開発した天然ハーブやスパイスから成る染料で染色する。通常化学薬品が用いられる色止めは、鉄やミョウバンなどを活用した。浅井デザイナーは、「人や環境に配慮したモノ作りに挑戦したいという気持ちと、ソハナの伊藤代表の新事業への意向が合致した」と話す。ブランド名はフランス語に由来し「人とのつながりを大事にするブランドでありたい」という思いを込めた。
ファーストシーズンは全23型。定番品として打ち出すたっぷりとした生地感のティアードキャミソールドレス(4万9500円)は、ミルクからタンパク質紡糸液を抽出してできた繊維からなる“ミルクファブリック”を使用(表記はレーヨン)。ウールのような起毛感と光沢、滑らかな肌触りが特徴だ。そのほか、コットン・ビスコースのスラブ織りにボタニカルプリントを施したドレス(4万9500円)や、オープンバックのパフスリーブドレス(5万9400円)など、リゾートシーンに合うアイテムを豊富にそろえる。浅井デザイナーの「オーガニックというと牧歌的なイメージに偏りやすいが、本当に自分が着たいと思える現代的でサステナブルな服を作りたい」という気持ちが原動力になった。価格帯は2万円台〜4万円台が中心。OEM事業の背景を活かし、商社を介さず直接貿易することで価格帯を抑えた。
浅井デザイナーは、「インドの生産現場の人たちから、モノ作りの商売は関わる人同士の信頼が基本と教わった。当たり前のことだが、ビジネスが先行すると忘れてしまうこともある。『フィルムス トレーズ』では、ブランドに関わるすべての人との信頼関係を大切に育んでいきたい」と話す。
展示会にはインドの工場長を招いてワークショップ
10月25日に東京・青山で開催した展示会には、トゥルートーンインクの工場長を招いて染色のワークショップ体験なども行った。アルン・バイド(Arun Baid)工場長は、「ここまでスケール感を持ちながら継続的に私たちのハーバル・ダイを採用してくれるブランドはなかなかない。浅井デザイナーは実際に工場に訪れ、きちんと染料の特性などについて学んでくれた。私たちの努力を理解し、ハーバル・ダイを広めるイニシアティブをとってくれることを非常にうれしく思う」と話した。
販路は自社ECとセレクトショップなどへの卸を中心とする。セールは極力行わない方針。また、売り上げの一部は、NGO団体を通して途上国の子どもたちの教育や女性の自立支援活動に寄付する。