ファッション

第4話:膨らみかけた、「ケイタマルヤマ」バブル 【丸⼭敬太の “⼭あり⾕あり”な30年】

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「ケイタマルヤマ(KEITAMARUYAMA)」は1994年に誕生し、今年で30周年。丸山敬太デザイナーは動植物で飾ったテキスタイルや、和洋中の要素を融合したデザインで、“晴れの日に着る洋服”を作ってきた。しかし多幸感溢れる表現の陰では、幾度の困難も克服してきた。酸いも甘いも知りながら、それでもなお「楽しいことを生み出したい」とする彼の人生譚とは。

ブランドの売り上げが、ちょうど面白いように伸びていた時期だったのだ。「今こそいろいろな分野に投資するタイミングだ」と息巻いていた僕は、ウィメンズだけじゃなくメンズラインにもさらに力を入れたかったし、コレクションももっと盛大に発表したかった。なのにパートナーは「地道に実績を積み上げよう」と言う。ジレンマだった。僕らの話し合いは決裂し、K2Mインターナショナルは終了することになった。今なら、あの時の彼の考えがよく分かる。

世はSPAブームの真っただ中。「組曲」「インディヴィ」「エポカ」など、幾らでも例を挙げられるくらいに、アパレル企業がこぞって自社ブランドを立ち上げ、才能あるデザイナーはディレクターとして引き抜かれていた。そんなオファーが僕にも幾つか届き、中でも熱意を感じたのがワールドだった。僕のやりたいことをよく理解してくれ、なおかつグローバルビジネスに前向きな会社。理想的だった。元パートナーが自身の株式を全て譲渡する形で、僕はワールドと合弁会社ノーリッジインターナショナルを立ち上げた。

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