エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)は10月30日、2025年1月1日付で次期最高経営責任者(CEO)にステファン・ド・ラ・ファヴリー(Stephane de La Faverie)現エグゼクティブ・グループ・プレジデントが就任することを発表した。これにより、来年末とされていたファブリツィオ・フリーダ(Fabrizio Freda)現CEOの退任日が早まる。また、ウィリアム・P・ローダー(William P. Lauder)=エグゼクティブ・チェアマンは次回の年次株主総会後に現職を退き、取締役の会長だけを務める。これによりローダー一族は今後、同社の日常業務の第一線から退く。
ラ・ファヴリー新CEOはロレアル(L’OREAL)で長年勤務した後、2011年に「アラミス(ARAMIS)」とデザイナーフレグランスのシニア・バイスプレジデント兼グローバル・ジェネラル・マネジャーとしてELCに入社。直近では、エグゼクティブ・グループ・プレジデントとして、「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」「エアリン(AERIN)」「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」「ル ラボ(LE LABO)」などのブランドを手掛けている。
同氏は就任に際して「ELCを率いることを大変光栄に思う。当社は先見の明を持った起業家が設立し、その功績は今もインスピレーションを与え続けている。プレステージビューティの世界的なリーダーとしての地位を取り戻すため、一族の伝統や素晴らしいブランド、消費者中心のアプローチ、創造性など、DNAとも言える中核的要素を生かす。革新的な商品や忘れられない体験、最先端のマーケティングを通じて世界中の消費者を魅了しながら成長していく」とコメントした。
フリーダ現CEOは声明で、「長年共に仕事をしてきたステファンを次期CEO として迎えられてうれしい。ダイナミックなプレステージビューティ業界で、深い知識やリーダーシップ、インスピレーション、信頼性、戦略的洞察を融合して収益性の高い成長を推進する彼独自の力は、当社を成功へと導くだろう」と述べた。ウィリアム・P・ローダー=エグゼクティブ・チェアマンは「彼の戦略的なビジョンは、現在の課題に直面しながらも当社を長期的な成長へと導くだろう」と語った。
フリーダ現CEOの在任中、ELCは長らく世界トップのプレステージビューティ企業だったが、近年はその地位をロレアルに奪われている。22年1月には株価は370ドル(約5万6600円)以上をつけるなどピークを迎え、時価総額は1330億ドル(約20兆3400億円)以上となったが、アジアのトラベルリテール市場と中国事業が回復せず、苦戦を強いられている。アナリストらはイノベーションの欠如と本拠地である米国市場が軟調であることを指摘している。24年度の売上高は前年比1~2%減と予測しており、アナリストと業界関係者は、同社がイノベーションに注力し、若年層を取り込み、ブランドの発信を強化する必要があると強調した。