アシックス(ASICS)が疾走している。主力のランニングシューズに加え、「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」やスポーツスタイルのファッションスニーカーが世界中で人気を集め、2024年度の売上高はコロナ前の19年度に比べて約1.8倍の見通しだ。時価総額も2兆円を突破した。快進撃の理由にはどこにあるのか。(この記事は「WWDJAPAN」2024年11月4日号からの抜粋です)
海外売上高8割以上
世界のライバルと渡り合う
「アシックスというブランドに風が吹いている」。7月に行われた2024年1〜6月期の決算説明会で、廣田康人会長はそう述べた。24年12月期業績予想を上方修正し、売上高6600億円(修正前は5900億円)、営業利益950億円(同580億円)とした。経営陣の想定を大きく超えた上振れを「風」と表現したのだ。
実際、店頭でも売れている。大手スポーツ専門店、アルペン(ALPEN)でアシックスのランニングシューズの販売は前年比2ケタ増。同社の森本顕次マネージャーは「セールをしなくても定価のままきれいに売れる」と評する。近年はランニングシューズのプレミアム戦略に舵を切り、安価なエントリーモデルを集約し、デジタルデータに基づき供給量も精緻に管理してきた。その結果、「価格を上げてもお客さまが価値を認めるようになった」(森本マネージャー)。
価値の源泉は商品力である。ランニングシューズでは19年に「Cプロジェクト」を立ち上げた。目指すは日本、米国、欧州でのランニングシューズ市場のシェア1位奪還。当時の社長だった廣田会長の直轄で、トップランナーに的を絞った商品開発とマーケティングを強力に進める。パリ五輪をはじめ着用者が活躍する場面も増え、ランニングシューズの販売にも風を吹かせた(こちらの記事参照)。
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