アメリカ・ロサンゼルス拠点を拠点とするブランド「ルード(RHUDE)」などを手掛けるフィリピン系アメリカ人デザイナーのルイージ・ビラセノール(Rhuigi Villasenor)が、イタリア・ロンバルディア州コモを本拠地とするセリエA所属のプロサッカークラブ、コモ1907(COMO 1907)のチーフ・ブランド・オフィサーに就任した。同時に少数株式も取得し、クラブをグローバルなライフスタイル・ブランドへと発展させるため、ファッションブランドとのコラボレーションや限定アイテムの販売などを指揮し、幅広い層への訴求を目指すという。
今回の就任に際してビラセノールは、「コモ1907での役割は、『ルード』や『ザラ(ZARA)』とのコラボライン“RHU”とは異なる領域に挑戦することだ。ファッション業界におけるビジネスは、波のように変わり続けるもの。だからこそ、トレンドや周囲の影響に左右されないスポーツという確固たるものに惹かれ、また、サポーターの深い愛と忠誠心に感銘を受け、その一部になりたかった」とコメントしている。
そして、避暑地として知られるコモ湖をはじめとした豊かなコモの観光資源が、世界的なファンの獲得の大きな足掛かりになるという。「イタリア人には嫌がられるだろうが、コモ湖は彼らが思っている以上にアメリカ的で、“イタリアのロサンゼルス”になれるはずだ。もちろん、コモと地元の人々には敬意を払うが、ロサンゼルスをよく知る私の視点も生かしつつ、コモの魅力を発信していきたい」。その一環として、すでにビラセノールは7月に「ルード」2025年夏メンズ・コレクションのランウエイショーをコモ湖で開催し、コモ1907とのコラボアイテムだけでなく、“Lago di Como(コモ湖)”のロゴが入ったラグビーシャツやベースボールキャップなども発表している。
また今回の就任は、「2022〜23年にNHL アリゾナ・コヨーテズのクリエイティブ・ストラテジストとして活動した経験が生かされる」とビラセノールは語る。「あれは時期尚早で、お互いに何をしているのか分からない状態だった。失敗から学び、適応することが大事だ。コモでの仕事は、クラブの少数株主でもあるため、私にとってはるかに大きなプロジェクトであり、責任も重く、多くのリスクを背負っている」。
コモ1907は、イタリア・ロンバルディア州コモで1907年に設立。1949-50シーズンに初めて1部リーグ・セリエAに昇格するも、その後は昇格と降格を繰り返し、一時はアマチュアの4部リーグ・セリエDにまで転落。しかし、19年に3部リーグ・セリエCに昇格すると、インドネシア3大財閥の1つであるジャルムグループ(Djarum Group)を率いる億万長者ハルトノ家(Hartono)がクラブを買収し、2024-25シーズンに21年ぶりのセリエA復帰を果たした。現在は、元スペイン代表のセスク・ファブレガス(Cesc Fabregas)が監督を務め、元イタリア代表FWのアンドレア・ベロッティ(Andrea Belotti)や元バルセロナMFのセルジ・ロベルト(Sergi Roberto)らを擁し、セリエAでは15位につけている(11月3日現在)。