ファッション

綾瀬はるか × 大沢一菜 初共演の映画「ルート29」で生まれた2人の絆

PROFILE: 右:綾瀬はるか/俳優 左:大沢一菜/俳優

PROFILE: (あやせ・はるか)1985年3月24日生まれ、広島県出身。2000年、デビュー。04年に「雨鱒の川」で長編映画初主演を果たす。同年、ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」(TBS)でゴールデン・アロー賞新人賞を受賞。以降、「白夜行」(06/TBS)や「ホタルノヒカリ」シリーズ(07、10/日本テレビ)など多くの主演ドラマが話題を集める。13年にはNHK大河ドラマ「八重の桜」で主演を務めた。15年「海街diary」で毎日映画コンクール、ヨコハマ映画祭の主演女優賞を受賞。その他の出演作に、ドラマ「JIN-仁-」シリーズ(09、11/TBS)、「義母と娘のブルース」シリーズ(18~24/TBS)、映画「はい、泳げません」(22)、「レジェンド&バタフライ」(23)、「リボルバー・リリー」(23)などがある。 (おおさわ・かな)2011年6月16日生まれ、東京都出身。22年の映画「こちらあみ子」で応募総数330人の中からオーディションで選ばれ、主人公のあみ子役でスクリーンデビューを飾った。同作で第36回高崎映画祭最優秀新人俳優賞を受賞する。その後、ドラマ「姪のメイ」(23/テレビ東京)や宮藤官九郎が企画・監督・脚本を担当した配信ドラマ「季節のない街」(23/Disney+STAR)などに出演。24年にはRM(BTS)の2ndソロアルバム「Right Place,Wrong Person」に収録されている“Domodachi (feat. Little Simz)”のMVにも出演した。

2022年公開の監督デビュー作「こちらあみ子」がさまざまな映画賞を受賞して注目を集めた森井勇佑監督。11月8日に公開される最新作「ルート29」は、中尾太一の詩集「ルート29、解放」からインスピレーションを受けて制作した不思議なロードムービーだ。鳥取で清掃員として働くのり子は、仕事で訪れた病院で入院患者から頼まれて、遠く離れた姫路で暮らしている彼女の娘、ハルを病院まで連れて来ることになる。秘密基地を作って遊んでいるハルは、ちょっと風変わりな女の子。早速、ハルに「トンボ」とあだ名をつけられたのり子は、姫路から鳥取まで国道29号線を一緒に旅をする。

のり子役は「台本を読んで自然に涙が出た」と語る綾瀬はるか。ハル役は「こちらあみ子」で鮮烈なスクリーンデビューを飾った13歳の大沢一菜(おおさわ・かな)。撮影を通じてすっかり仲良くなった2人に映画について話を訊いた。

魅力的な目を持つ2人

——綾瀬さんは大沢さんと初めて共演して、どんな感想をも持たれました?

綾瀬はるか(以下、綾瀬):初めて一菜ちゃんに会った時は、「わあ、あみ子が大きくなってる!」って驚きました。すごくシャイで、かわいくて、一菜ちゃんに釘付けでしたね。そこからだんだん仲良くなっていくと、すごく優しいところとカッコいいところが見えてきて、ハルに近いなって思いました。監督も言ってましたけど、目が魅力的なんですよね。セリフがなくても目で気持ちを伝えている。

——大沢さん、うれしそうに笑ってますね(笑)。大沢さんは綾瀬さんと共演してどう思いました?

大沢一菜(以下、大沢):テレビで見ていて、きれいだし、かわいいし、絶対優しいだろうなって思っていました。実際に会ったやっぱり優しかったし、テレビよりホンモノの方がすごくかわいくて、最初はとても緊張しました。

——ハルの秘密基地で2人が初めて出会うシーンがすごく印象的でした。あそこが初めて撮影した、2人がセリフを交わすシーンだったとか。

綾瀬:一菜ちゃんの顔が草の中からニョキっと出てきた時は、すごくインパクトがありました。

大沢:私は「本物の綾瀬はるかさんが目の前にいる!」っていうことしか考えてなかったです。それで頭の中が真っ白になったんですけど、綾瀬さんの目がすごく魅力的でした。

のり子とハルの演技

——2人とも魅力的な目が共通点なんですね。のり子はハルに「お母さんのところに連れていくよ」と声をかけて、2人は一緒に旅をすることになります。突然、知らない人に声をかけられて、なぜハルはついて行こうと思ったのでしょう。

大沢:ハルは離ればなれになったお母さんに会いたかったんだと思います。でも、1人だと姫路から鳥取まで行けないし、そういう大人を探してたのかもしれない。だから、トンボの「お母さんに会わせてあげる」っていう言葉を聞いて、お母さんに会いたい気持ちがいっぱいになって、ついて行ったのかなって思いました。

——一方、のり子は旅をしながら、だんだんハルを身近に感じるようになります。のり子はハルのどんなところに惹かれたんだと思いますか?

綾瀬:無邪気さじゃないでしょうか。のり子に突然、「今日からお前、トンボな」って言ったりして、無邪気に生きて毎日を楽しんでいる。のり子はハルのそういうところに惹かれたんじゃないかと思います。

——ハルは森井監督が大沢さんをイメージして作ったキャラクターだそうですね。

大沢:台本を読んだ時に、自分のことが書いてあるなって思いました。だからやりやすいところもあったけど、完全に似ているわけじゃないから、似てない部分を集中して演じようと思いました。

——あみ子を演じた時と、役に対する向き合い方に違いはありました?

大沢:違いはなかったです。でも、あみ子の時は監督からは何も言われなくて自由に演じてたけど、今回は「宇宙で独りぼっちでいるような気持ちになってやってみて」って言われたこともあって、どういう意味なんだろう?って考えながら演じたりしました。

——監督の演出の仕方に違いがあったんですね。綾瀬さんは大沢さんと共演して、プロの役者さんとは違う感覚はありました?

綾瀬:ハルがそこにいる、という感じで、役を演じているふうには思えなかったですね。

——綾瀬さんは監督から何か言われたことはありました?

綾瀬:最初に監督に言われたのが、のり子は若い時に自分が言っていたことを大人たちに勘違いされて、周りに積極的に関わりを持つのをやめている人かもしれない、ということでした。でも、それで暗くなっているわけではなく、自分の中の宇宙がすごくある人かもしれないって。

——自分の中に宇宙がある、というのは、ハルと同じですね。のり子を演じてみてどんな感想を持たれました?

綾瀬:最初、監督に「演じなくていいので、綾瀬さんそのままでいてください」って言われてたんですが、やっぱり掛け合いのお芝居では伝えようとしちゃうんですよね。演技を積み重ねて役になっていくことが多いし。今回はそういうことを全部削ぎ落として、なるべく“無”でいるようにした方がいいんだなって思いました。

——いつもとは違うアプローチで役に向き合ったんですね。

綾瀬:最初は難しいなって思いました。でも、10代の時はこういうふうだったなって思い出したんです。演じて作っていく役とは違って、自分じゃないけど自分の延長にいるみたいな役、というのが懐かしい感じがしました。

撮影の合間の遊び

——国道29号線に沿って旅をするようにロケ撮影をされたそうですが、撮影で印象に残っていることはありました?

大沢:鳥取って全部が砂丘だと思ってたけど違いました(笑)。砂丘は初めてで砂に座ったら気持ち良かったです。

綾瀬:砂丘のシーンは朝早かったんですよね。誰もいない砂丘を歩くのは気持ち良かった。あと、今回は森の中のシーンが多かったので、一菜ちゃんと一緒に虫とカエルを捕ったりしていました。監督と3人でお祭りを見に行ったりもしましたね。

——夏休みっぽくていいですね。映画の中でハルがやる囚人ごっこは大沢さんが思いついた遊びだとか。撮影の合間にそういう遊びをすることで距離が近づいていったんでしょうね。

大沢:(綾瀬さんとは)いろんな遊びをしました。石積みとかアクションごっことか。

——「アクションごっこ」というのは?

大沢:監督を見たら、「敵がいるぞ!」って言って爆弾を投げる(笑)。投げるふりだけど。

綾瀬:私も一緒に「油断するな、そこにもいるぞ!」って(笑)。

——別のお芝居がそこで始まる(笑)。綾瀬さんは子供の頃は、どんな遊びをしていたのですか?

綾瀬:男子に混じって走り回っていました。鬼ごっこをしたり、川跳びをしたり。

——アクションもこなせる綾瀬さんは、子供の頃から体を動かすのが好きだったんですね。

綾瀬:身体と心はつながっているので、アクションも表現の一つだと思っています。今回の撮影で素足になって土を感じながら演技したのも良い経験でした。

————日常生活でも自然との触れ合いは大切にされていますか?

綾瀬:窓から木が見えるのが好きなんですよ。だから引っ越す時は窓から木が見える家にしています。ぼーっと風に揺れる木の枝を見たりするのが好きなんですよ。

森井監督の子供っぽさ

——心が落ち着きますね。そういえば、大沢さんはプライベートでも監督と遊んでいるそうですね。

大沢:はい。友達と遊んでいる時に、みんなが「誰か誘おうぜ!」って言うから、監督を呼んだらすぐ来て。一緒に鬼ごっこしました。「プール行こうぜ!」って連絡したり、こういう友達がいるのもいいなって思います。

——呼び出す方もすごいですが、来る監督もすごい(笑)。映画を観て思いましたが、森井監督は子供の感性を失っていない方なんですね。

大沢:うん。子供っぽい大人。仲間って感じがする(笑)。

綾瀬:確かに少年のままなところがありますね。すごく優しいし、本当に映画が好きなんだなって思います。撮りたいものがすごくはっきりしていて、それを信じているから厳しい時は厳しいし、すごくシンプルな気がしますね。

——監督も、ハルやのり子のように宇宙を持っている人なんでしょうね。大沢さんは監督みたいに綾瀬さんと友達になれたと思います?

大沢:(うなずいて)綾瀬さんは監督より大人っぽい気がします。監督はいつも「アヒヒヒ〜」って感じだけど綾瀬さんはメリハリがある。

綾瀬:監督もメリハリあるよ!(笑)。

——大人の基準はメリハリ。確かにそうかもしれませんね。

綾瀬:一菜ちゃんは大人なところがあるんですよ。撮影中に「大丈夫? 疲れてない?」って気づかってくれたり。

大沢:大切な友達には言います(照)。大人になったら、綾瀬さんみたいにアクションができる俳優になりたいです!

PHOTOS:TAKAHIRO OTSUJI
STYLIST:[HARUKA AYASE]MAYUMI NISHI、[KANA OSAWA]MIHOKO TANAKA
HAIR & MAKEUP:[HARUKA AYASE]MASAKO IDE、[KANA OSAWA]GO UTSUGI

[HARUKA AYASE]シャツ24万6400円、トラウザー 19万6900円、ベルト 6万1600円、シューズ 16万3900円/以上、ロエベ(ロエベ ジャパン クライアントサービス 03-6215-6116)、イヤカフ 1万7600円(参考価格)/バランス(ザ・ウォール ショールーム 050‐3802-5577)、チョーカー 5万7200円/サピア バハール(フィルグ ショールーム 03-5357-8771)

■映画「ルート29」
11月8日からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
出演:綾瀬はるか
大沢一菜
伊佐山ひろ子 高良健吾 原田琥之佑 大西力 松浦伸也/河井青葉 渡辺美佐子/市川実日子
監督・脚本:森井勇佑
原作:中尾太一「ルート29、解放」(書肆子午線刊)
製作:東京テアトル U -NEXT ホリプロ ハーベストフィルム リトルモア
配給:東京テアトル リトルモア
https://route29-movie.com
©︎2024「ルート29」製作委員会

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。