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ケリング、24年7~9月期は15%減収 主力「グッチ」は26%減収と引き続き不調

ケリング(KERING)の2024年7~9月期(第3四半期)決算は、売上高が前年同期比15.2%減の37億8600万ユーロ(約6246億円)だった。

ブランド別に見ると、主力の「グッチ(GUCCI)」は同26.0%減の16億4100万ユーロ(約2707億円)、「サンローラン(SAINT LAURENT)」は同12.8%減の6億7000万ユーロ(約1105億円)と大幅に減収。「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は、米国、欧州、中東市場で好調で、同4.2%増の3億9700万ユーロ(約655億円)と堅調だった。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が属するその他のメゾン部門は、同14.8%減の6億8600万ユーロ(約1131億円)だった。

地域別の売上高では、西欧が同11%減、北米は同15%減だった。日本は円安によるインバウンドの増加で第2四半期には同27%増を記録したものの、第3四半期は同3%増と急激に減少した。日本を除くアジア太平洋地域は、客足が大幅に減少したことが響いて同30%減に。なお、中国市場の景気減速などにより、中国人客の売り上げは同35%減となっている。これを受け、ケリングは大中華圏における直営店の統廃合を含む販売網の最適化に着手するほか、アジア太平洋地域を中心にアウトレットをさらに減らしつつ、全体としては引き続き卸を縮小して小売りへのシフトを加速するという。

なお、販売チャネル別で見ると、売り上げの約75%を占める直営店(ECを含む)の売上高は同17%減、卸は同12%減といずれも減収となっている。

24年度の営業利益は前年度の半分の見込み

フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼CEOは、「ラグジュアリーセクター全体が減速する中、当社は断固たる決意をもって大幅な変革に取り組んでいる。これは短期的な業績に大きく影響するが、私たちの絶対的な優先事項は、設備投資先の厳選やいっそうのコスト削減などを行いつつ、安定的かつ持続的な成長軌道に戻るための条件を整えることだ。私たちには、この目標を達成するための正しい戦略、組織、人材がそろっていると確信している」と語った。

アルメル・プールー(Armelle Poulou)最高財務責任者(CFO)はアナリスト向けの決算説明会で、9~10月には業績がやや上向きになったものの、10~12月期(第4四半期)に大幅な改善は期待できないと説明。このため、24年度の営業利益はおよそ25億ユーロ(約4125億円)と、前年度の約47億ユーロ(約7755億円)の半分程度になる見込みだと述べた。

なお、同社は効率性と生産性の改善のため、人員削減、サプライヤーとの契約条件の再交渉、物流の見直し、設備投資や企業支出の抑制などのコスト削減策を実施。また、投資家にニューヨークやパリの一等地にある店舗に投資してもらい、主要オーナーとする契約を年末までに締結する予定で、これによりおよそ14億ユーロ(約2310億円)のキャッシュを獲得する見込みだという。

急務である「グッチ」復活はまだ遠く

ケリングが成長軌道に戻るためには、売り上げの半分程度を占める「グッチ」の復活が急務だ。ちなみに、同社の上半期における営業利益の64%近くを「グッチ」が担っている。

しかし、回復の道のりは簡単なものではない。「グッチ」はもともと中国市場への依存度が高いブランドで、9月30日の時点で西欧における直営店数が103店なのに対し、日本を除くアジア太平洋地域では183店を構えている。なお、第3四半期における地域別での売上高は、西欧が同19%減、北米は同20%減、日本は同5%減、日本を除くアジア太平洋地域は38%減だった。

23年1月に就任したサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)=クリエイティブ・ディレクターによるコレクションは、24年2月後半から販売を開始。同氏による新作が売り上げに占める割合は、第1四半期には7%以下、第2四半期には25%程度だったが、第3四半期はおよそ35%となっている。

なお、かねてより明らかにしていた通り、9月には新作バッグとして2490ドル(約37万円)の“GGエンブレム(GG Emblem)”、4100ドル(約67万円)の“グッチ B(GUCCI B)”、4200ドル(約69万円)の“グッチ ブロンディ(GUCCI Blondie)”などを発売。売り上げへの貢献に期待がかかるが、プールーCFOによれば、いずれも「既存の顧客から非常に好評」ではあるものの、やはり客足の減少が響いているという。

同ブランドは人事面でも再編に取り組んでいる。ジャン・フランソワ・パリュ(Jean-Francois Palus)社長兼CEOは、今年1月にチーフ・インダストリアル兼サプライチェーン・オフィサーを、8月に最高商務責任者を、9月にグローバル・コミュニケーション・ディレクターを任命。10月には、自身の後任となる新たなCEOとして、ステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)=グッチ副CEOを任命した。同氏は25年1月1日付で就任する。

ケリングの株価は今年のピーク時の半分に

プールーCFOはこうした取り組みについて、「コストの最適化や、健全かつ持続的な成長を実現するための努力は、一朝一夕に実を結ぶものではない。しかし、当社および傘下ブランドは正しい方向に向かって進んでおり、いずれよい結果となるものと確信している」と述べた。

しかし、ケリングの24年における株価は2月22日の434.50ユーロ(約7万1692円)をピークに下落し続けており、11月6日の終値230.60ユーロ(約3万8049円)はそれと比較して46.9%安とおよそ半分に。これを受け、米シティ・グループの証券部門は最近、ケリング株を「買い」から「中立」に格下げしている。

なお、ラグジュアリーセクターをけん引する競合のLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)も、中国市場の景気減速が響き、24年7~9月期(第3四半期)決算の売上高は同4.4%減の190億7600万ユーロ(約3兆1475億円)だった。

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