テキスタイルデザイナーの皆川魔鬼子が手がける「HaaT(ハート)」は9月8日まで、東京・青山の「ラ・コレツィオーネ」でテキスタイルの展覧会「Heart in HaaT」を開催している。皆川は「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」の設立直後の1971年から同ブランドのテキスタイルデザインを手掛け、世界的に高い評価を受けてきた。「ハート」は2000年に、テキスタイルをベースにしたブランドとしてスタート。展覧会では、「ハート」で手がけ、日本で作ってきた代表的なテキスタイルを、技法や発想、糸の番手に至るまで詳細に説明している。皆川は、展覧会を開催した理由を「今年がブランドをスタートして15年間という節目。次のステップに進むためにも、過去をおさらいしておきたかった。『ハート』のテキスタイルは私たちのクリエイティブだけではなく、テキスタイルメーカーと一緒に創意工夫して生み出してきたようなところもある。テキスタイル作りが楽しいことを、若い人に伝えたかった」と語る。
1970年代は日本のテキスタイルの黄金期と言われ、化学繊維や電子ジャカードなど、新しい素材や技術が次々と出てきた。その当時からファッションとテクノロジー、デザイン、アート、クラフトを横断し、日本でのテキスタイル作りの最前線を走ってきた皆川は、「テキスタイルの分野では確かに昔ほど革新的な技術が出てくるわけではないが、だからといって新しいテキスタイルが作れないわけではない。いまも日本のテキスタイルメーカーは生き残るために、小さな創意工夫を積み重ねている。私の役割は世の中にないものを提供すること。これからも彼らと一緒に、新しいテキスタイルを生み出していきたい」という。