丸みを帯びた、クラシカルなシューズ“メリージェーン”が復活しています。ソックスと合わせて履く少女らしいイメージから、今は大人っぽく履きこなすのが新傾向。人気の理由は、愛らしさと安心感。あえてガーリーから離れるスタイリングで出番が増えそうです。今回は、2024年流メリージェーンの履き方を、パリとミラノのランウエイルックからご案内します。
まず、メリージェーンの定義を確認しておきましょう。基本形はヒールが低めで、つま先が覆われ、足の甲にストラップがあるのが特徴です。シルエットは丸みを帯びたものが多く、ややぽってりした、つややかなレザーが主流。ですが、パリ・ファッション・ウィークのショー会場周辺でキャッチしたこちらの写真のように、今シーズンは細身で白系など、従来の型にはまらない派生形が増加しています。少女風に抵抗のある人にも試しやすい傾向です。
カラータイツに合わせて
クールなカラーブロッキング
少女らしさが持ち味だったメリージェーンの印象を書き換えるのが、今年らしいアレンジです。“大人っぽさ”“センシュアル”“ドレッシー”などが、新しい軸になっています。共通する方向性は“脱・ガーリー”です。
トレンドセッターの「ミュウミュウ(MIU MIU)」は、メリージェーンでも新スタイリングを先導しました。カラータイツに合わせて、“ボトムレス”風のクールな見え具合に。コンパクトなスエードコートが、タイトなイメージを増幅させています。発色の良いオレンジのグローブも加えて、全体をカラーブロッキングでまとめました。
足元に迎えた差し色が
全体のムードメーカーに
黒や赤が多かったメリージェーンですが、近ごろは色のバリエーションもぐっと増えてきました。目新しいカラーが足元に意外性を呼び込みます。落ち着いた色味でまとまりがちな秋冬ルックへの差し色効果も期待できます。
「モスキーノ(MOSCHINO)」は、“穏やか&センシュアル”の装いを打ち出しました。キャメルカラーのニットトップスにサテン系のミモレ丈スカートでリラックスした雰囲気に整えます。フェティッシュなムードを添えたのは、スカートに重ねたレースのガーター風ピース。足元には黄緑のメリージェーンを迎えてフレッシュな印象をプラスし、視線を巧みに散らしています。
グラマラスなビジュー服とも好相性
落ち着いた装いと相性がいいメリージェーンですが、新コーディネートではグラマラスなスタイリングとのマッチングが試されています。ビジューをあしらったタイプも登場。リッチでゴージャスなメリージェーンという提案が加わりました。
きらきらしたパーツを全体にあしらい、まばゆいルックに仕上げたのは、「ヴェルサーチェ(VERSACE)」。メリージェーンもきらびやかに彩られています。リュクスなたたずまいとヌーディーな露出をミックスし、メリージェーンがパワフルな出で立ちに適度な抜け感を添えました。
“ロック×ミニマル”に
クラシック感をプラス
朗らかでソフトな表情を帯びたメリージェーンは、“強め”な装いのトーンをやわらげてくれます。いわゆる“はずし”のテクニックです。メリージェーン特有のほっこり感がルックに落ち着きをもたらしてくれます。
「バリー(BALLY)」は、スタッズを全面に配したレザースカートでロックな風情に導きました。逆に、トップスは半袖シャツでミニマルな印象に。相反するテイストを上下に迎え入れて、メリハリを強めました。オーソドックスな黒革のつややかなメリージェーンがクラシックな気分を盛り込み、全体の表情が深まっています。
王道スタイルも健在
ミックスコーデのずらし加減が鍵
新顔のアレンジが広がる一方、王道の履き方も健在です。白系のソックスに、パテントレザー風メリージェーンのコンビネーションは、コケットで愛らしさがあります。ムードの異なる装いとの“ずれ感”を際立たせやすいのもいいところです。
特大の襟と、クラフト感のあるコートを押し出したのは「タオ(TAO)」。ややオーバーサイズのシルエットに、手仕事技の刺しゅうを施した、スペシャルなオールホワイトコーデが印象的です。足元はショートソックスとメリージェーンの少女ライクな鉄板コンボ。アウターとのミックス具合が巧みです。
メリージェーンのバリエーションが広がり、履き方をより自由に楽しめるようになってきました。歩きやすく安定感が高いメリージェーンは、使い勝手も上々。手持ちのワードローブと合わせて、さまざまな相性を引き出せるので、着こなしのレパートリーを拡張する効果も期待大です。