ファッション

森勉、「モロー・パリ」とのコラボを語る 「犬の散歩が全ての発端でした」

PROFILE: (左)森勉/アーティスト (右)ファビアン・フルーリー/メゾンモロージャパン セールスプロモーションマネージャー兼VMDマネージャー

(左)森勉/アーティスト<br />
(右)ファビアン・フルーリー/メゾンモロージャパン セールスプロモーションマネージャー兼VMDマネージャー
PROFILE: (左)東京生まれ。日本人の父、アメリカ人の母をもつ。ロードアイランド・スクール・オブ・デザインに入学し、グラフィックデザインを専攻。卒業後は帰国し、ビーズインターナショナルでグラフィックデザイナーとして活躍する。2010年、伊藤忠商事とデザイナーの豊田洋人とともに「ホワイト・レーベン」を立ち上げた。ファッション業界で活躍するかたわら、アート活動も精力的に継続。2015 年から 2016 年には、セゾン現代美術館が運営するアートギャラリーのメイン契約作家にも抜擢された。現在は、アーティストの活動に専念している PHOTO:SHUHEI SHINE

「犬の散歩友達」「サイクリング仲間」「飲み友」――アーティストの森勉とファビアン・フルーリー=メゾンモロージャパン セールスプロモーションマネージャーの関係性を表す言葉はたくさんあるが、今回は初めてお互いを「コラボレーター」と呼び合う。森はこのほど、仏バッグブランド「モロー・パリ(MOREAU PARIS)」とのコラボレーションを発表した。両者に由縁のあるハチをモチーフにしたバッグを、三越銀座店でマーカージュ(ペインティング加工)演出とともにお披露目する。「このコラボは2人の関係性があって実現した」と語る森に、自身の作風やコラボの内容を深掘りした。

幼少期の環境を土台に、現在の作風へ

祖母はファッションデザイナーの森英恵。育ってきた環境は、作風に大きな影響を与えたと森勉は語る。「大胆な色使いは、間違いなく祖母からの影響です。また、祖母の『真に美しいものには、ある種の気持ち悪さが宿る』という言葉にも共感しており、私が爬虫類に魅せられる理由のように感じています。そういえば、得意とする立体点描も、ワニやヘビのうろこを点で描いていたのが始まりでした。そのとき、一気に作品が引き締まったと感じたんですよね」。

立体点描とは、粘着力の強い絵の具を使用し、極限の集中力のもと、極小の点で描き上げる手法。「ポイントとなるのは絵の具で、今では何千個と手元にそろえています。一般的な画材屋はもちろん、海外の滞在先でもつい見てしまいますし、最近はヤフオクやメルカリでも良い絵の具に出合うことができます」。

“自然発生”したコラボ? 両者をつなぐ縁

今回のコラボで採用したのはハチのモチーフだ。ハチの腹部は、森勉と「モロー・パリ」の頭文字“M”をもとにデザインした。トリコロールで、フランスへのリスペクトを表現したという。「慣れないバッグへのペイントですが、『モロー・パリ』はスムースな素材を使用しているため、『バッグへのペイント』と意識することなく描けます。ペイントの耐久性を上げるため、レザー用の絵の具やアクリルのトップコートを使用するなど、普段と違う工程も新鮮です」とはにかむ。

ハチは、ポジティブな意味合いが強く、かのナポレオンも繁栄と豊穣の象徴として紋章にあしらっていたことで知られる。「モロー・パリ」創設者のルイ・モローがナポレオンお抱えの家具職人であったこと、森も昆虫や爬虫類を主題に作品を発表していることから、「これしかない!」と満場一致で決定したという。

「今回のコラボは、自然で作り込まれた感がないはずです。実現の経緯もとてもナチュラル。実は、立役者のファビアンは、5年来の友人なんです。犬の散歩中に仲良くなり、意気投合。スタジオにも足を運んでくれ、彼がペイントサービスに定評のある『モロー・パリ』に勤めていることから、コラボの話が自然に浮上しました。そこからはとんとん拍子で事が進み、今回のポップアップに至ります」。インタビュー中、繰り返し出てきたのは“自然体”“ナチュラル”という言葉。「自分に正直でなければ、厚みのあるアートは生まれない」とまっすぐ語る森に、時流に飲まれず生き様を貫く“アーティストの本懐”を見る。

◼️「モロー・パリ」ポップアップストア
日程:11月13日~26日
場所:三越銀座店 本館1階 GINZAステージ
住所:東京都中央区銀座4-6-16

◼️森勉によるマーカージュ実演
日程:11月 13日、16日、17日、23日、24日
時間:14:00〜18:00
場所:三越銀座店 本館1階 GINZAステージ(同上)
住所:東京都中央区銀座4-6-16(同上)

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