カフスブランド「ルイ ファグラン(LOUIS FAGLIN)」からジュエリーが登場した。同ブランドは1899年、フランスでボタンメーカーとして創業。4代目がカフスを発明してからビジネスが急成長し、フランスのラグジュアリー・ブランドの数々へカフスやアクセサリー類のメタルパーツを提供してきた。ファクトリーブランドだったが、1999年に自社でカフス専門ブランドを立ち上げ、バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)やユナイテッド アローズ(UNITED ARROWS)、トゥモローランド(TOMORROWLAND)などのセレクトショップや高島屋などで販売している。メンズ中心、フォーマルな装いのアクセントアクセントであるカフスだけでなく、ジェンダーレスでカジュアルに楽しめるアイテムを提供したいと7代目がリブランディングに挑んだ。
歴史あるファクトリーブランドの強みをジュエリーに反映
新作ジュエリーは、シルバーを用いたネックレス、リング、ブレスレット、バングルなど。素材はシルバーとヴェルメール(3ミクロンの24金をコーティングしたもの)が中心で、いずれも10万円以下と手ごろな価格だ。カフスのトグルパーツを留め具のモチーフにしたり、ギヨーシェ彫り(直線や曲線を刻む装飾)を施したり、1万5000点以上あるカフリンクスのアーカイブからインスピレーションを受けている。性別や好みを選ばず着用できるジェンダーレスなデザインで、控え目ながらも独特なテクスチャーが特徴だ。さまざまなラグジュアリー・ブランドの要望に応え続けてきたファクトリーメーカーならではの味わいがある。
メンズ中心からより幅広い層へ魅力を届ける
7代目である「ルイ ファグラン」を手掛けるピュアリーニュの王子瑠偉アドリアン最高マーケティング責任者(CMO)は、「カフスには根強いファンがいるので、今後も作り続ける」と話す。同ブランドでは、18金やダイヤモンドを使用したカフスのオーダーも受け付けている。競合ブランドは、「タテオシアン(TATEOSSIAN)」や「バベット・ワッサーマン(BABETTE WASSERMAN)」だ。一方で、コロナでよりカジュアル化が進み、カフスの需要は一部のビジネスマンと愛好家のものになりつつある。「今までは、メンズファーストのビジネスだった。より若く幅広い層にジュエリーを提供することで、日常的に楽しんでもらい」と同CMO。カフスやマネークリップなど、メンズ中心のアクセサリーを提供してきが、1世紀以上に培われた職人技を駆使したジュエリーを性別問わず提供するのが目的だ。
クリエイションを担当するのは、同じく7代目の王子瑠嘉アルマン最高クリエイティブ責任者(CCO)。「ショールームには、過去制作したカフスがたくさんあるので着想源は尽きない。男女問わず、カフスとジュエリー両方を楽しんでもらえれば」と述べている。同時に、メンズファッション市場において、スーツでドレスアップする楽しさが再度盛り上がることを期待しているようだ。