伊アパレル企業ニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP以下、NGG)は11月18日、日本の民事再生法にあたるイタリア倒産法(Composizione Negoziata della Crisi、CNC)の適用を申請したと海外メディアが報じた。CNCは破産の手続きをするものではなく、NGGは同法の下で債務を整理しつつ事業を継続し、再建を目指すという。
NGGは2015年にミラノで設立。マルセロ・ブロン(Marcelo Burlon)と、人気セレクトショップのアントニオーリ(ANTONIOLI)を運営するクラウディオ・アントニオーリ(Claudio Antonioli)、ミラノ発のカジュアルブランド「ヴィンテージ55(VINTAGE 55)」の創業者ダヴィデ・ドゥ・ジーリオ(Davide De Giglio)の3人が共同出資した。「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」「アンブッシュ(AMBUSH)」「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」などのブランドを擁するほか、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」(以下、オフ-ホワイト)をライセンス生産している。
19年8月、高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)がNGGを6億7500万ドル(約1039億円)で買収。しかし、ファーフェッチは23年12月15日に経営破綻に陥っていることが明らかになり、同18日に韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)によって買収された。
「リーボック」の販売代理店契約の終了が痛手に?
NGGは「リーボック(REEBOK)」を保有する米ブランドマネジメント会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)と22年3月に提携し、23年5月には同ブランドの欧州における販売代理店業務などを手掛けるNGG++部門を立ち上げている。しかし、新たな契約条件で合意に至らなかったことから、ABGは24年11月初旬に同契約を終了。情報筋によれば、これに伴い、NGGはABGに対しておよそ3億ドル(約462億円)のロイヤルティーを支払う義務があるという。
なお、24年1月には、伊ファンドのスタイル キャピタル(STYLE CAPITAL)がNGGの買収を検討していると報じられたが、現時点では実現していない。
今回のイタリア倒産法の適用申請に関し、NGG、ファーフェッチ、クーパンからのコメントは得られなかった。
クーパンについて
クーパンは、“韓国のアマゾン”とも呼ばれるeコマース企業。24年4~6月期(第2四半期)決算は、売上高が前年同期比25.4%増の73億2300万ドル(約1兆1277億円)、営業損益は前年同期の1億4800万ドル(約227億円)の黒字から2500万ドル(約38億円)の赤字に、純損益は1億4500万ドル(約223億円)の黒字から1億500万ドル(約161億円)の赤字となった。純損失にはファーフェッチによる損失などが含まれている。なお、8月には、ファーフェッチの企業向けECプラットフォーム事業、ファーフェッチ・プラットフォーム・ソリューション(Farfetch Platform Solutions)を終了することを発表している。