LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)系の投資会社Lキャタルトン(L CATTERTON)は、保有する仏ライフスタイルブランド、アー・ペー・セー(A.P.C.)の新たな社長として、仏アパレルブランドのバッシュ(BA&SH)で最高経営責任者(CEO)を務めていたピエール・アルノー・グレネード(Pierre-Arnaud Grenade)を任命した。
「アー・ペー・セー」は、1987年にジャン・トゥイトゥ(Jean Touitou)=デザイナーがパリで創業。質の高い、シンプルかつフレンチシックなカジュアルウエアで人気を博し、「ラコステ(LACOSTE)」「カーハート(CARHARTT)」「ア ベイシング エイプ®(A BATHING APE®︎)」「サカイ(SACAI)」などのブランドと協業している。しかし、コロナ禍の影響で財政難に陥り、2023年3月に過半数株式をLキャタルトンに売却。その際、トゥイトゥ創業デザイナーは「肩の荷が下りてほっとした」と語り、今後もクリエイティブ面での変化はないものの、ビジネス面や成長戦略はLキャタルトンに委ねたいと述べている。なお、Lキャタルトンによれば、当時の「アー・ペー・セー」の売り上げは1億ユーロ(約162億円)をやや上回る程度で、将来的にはおよそ5倍に成長する見込みがあるという。
グレネード新社長の経歴について
グレネード新社長は、現在56歳。モルガン(MORGAN)、オックスボー(OXBOW)、プリンセス タム・タム(PRINCESS TAM TAM)で最高執行責任者などの要職を歴任したほか、仏ウィメンズウエア連盟(FRENCH FEDERATION OF WOMEN’S READY-TO-WEAR)のアドミニストレーター務めている。
「バッシュ」は2003年の創業。15年にLキャタルトンが過半数株式を取得した際、CEOとしてグレネード新社長を任命した。同氏の指揮の下で成長軌道に乗り、欧州だけでなく北米やアジアでも販売網を拡大。22年にLキャタルトンが英投資会社HLDグループ(HLD GROUP)に持ち分を売却した際の業績は、15年当時と比べて売上高は約7倍の3億2000万ユーロ(約518億円)だった。
「アー・ペー・セー」は声明の中で、「グレネード新社長には、ブランドのクリエイティブ面をさらに拡充しつつ、財務構成を強化し、精選した成長機会をもたらしてくれることを期待している」とコメントした。