「ゲラン(GUERLAIN)」は2025年4月、前衛的な芸術家とブランドの調香師がコラボレーションした芸術作品のようなフレグランスの新作として、現代美術の巨匠である李禹煥(リ・ウファン)を招いたエクセプショナルピース“スヴニール ドルキデ”を販売する。価格は774万4000円で、世界で21個、日本では3個取り扱う。
116年の伝統と160年の技術が結集
多面的なフォルムと4枚のローブをつかさどったキャップが特徴的な2リットルボトルは、「ゲラン」が1908年にフレグランス“リュ・ド・ラ・ペ”のために初めて作り、以来メゾンの伝統として受け継いできたクアドリローブ。バカラとのコラボレーションでもお馴染みのデザインだ。今回のコラボにあたり、160年を超える歴史を持つフランスの老舗陶磁器メゾン、ベルナルドがボトル製作を担当。石膏の型を作って鋳型に粘土液を流し込み、2度の焼きを入れるなど、職人による土と火の対話、古く伝わる伝統の技術によって作り上げている。
そんな芸術的なボトルを作品へと昇華させる李のアートは、代表作の一つ「Dialogue( 対話)」シリーズに着想を得た鮮やかなグリーンを描いた。ミニマルな色使いと単純な点や線に還元されたフォームが目を引く作品で、色彩と無垢な磁器の間の対話を示し、大胆な緑の筆跡によるグラデーションは動きやエネルギーの躍動を伝える。
山の空気の清らかさと蘭の香りをイメージ
李と「ゲラン」の調香師デルフィーヌ・ジェルク(Delphine Jelk)の出会いによって生まれた香りは、アクアティックでムスキーなこのフローラル調で、李が幼少期に親しんだ山々とそこに咲く蘭に着想を得て作り上げた。トップノートはアンジェリカのグリーンなフレッシュさとパラディゾンのフローラルな甘さを調和させ、ミドルノートは朝方に咲く白い花びらの優しさを思わせるジャスミンサンバックとアイリスパウダー、ラストノートはアンブレットムスクとアンバーチンキで、柔らかさとミネラルの深みをもたらし、山の空気の清らかさと蘭の柔らかさを想起させる香りに仕上げている。