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伝説のフレンチを東京で 美食家も注目「ラ・ピラミッド」と「ザ・キタノホテル東京」による「未来をつくる一皿」

「ザ・キタノホテル東京(THE KITANO HOTEL TOKYO)」(以下、キタノ東京)はメーンダイニングの「オランジュリー光庵(以下、光庵)」で10月末に、持続可能な地球環境や人の健康に配慮した「未来をつくる一皿」フェアを開催した。「キタノ東京」の前身は、1964年に戦後初の高級アパートメントホテルとして東京・永田町に開業し、政財、文化芸能界の各分野の著名人に愛された「北野アームス」。2年間の改装を経て16年にホテルとして開業した。同ホテルは、多くのミシュラン付きホテルやレストランが加盟する団体のルレ・エ・シャトーの東京で唯一のホテルだ。永田町駅から程近いホテルは、都心にありながらも、“知る人ぞ知る”といった風情。特別感を大切にする旅慣れた人や美食家から支持されるルレ・エ・シャトー特有の温かさとプライベート感が感じられる。

美食家注目のコラボ「キタノ東京」X 伝説の名店「ザ・ピラミッド」

その土地土地のホスピタリティーを大切にするルレ・エ・シャトーでは、スローフード協会などのNGOと連携したサステナブルな料理を推進する“フード・フォー・チェンジ”という活動を行っている。今年は、「プラント・ザ・フューチャー」をテーマに580の加盟店で、野菜を中心にした美食体験を提供した。「未来をつくる一皿」はその一環で、今年の“フード・フォー・チェンジ”活動のアンバサダーを務めるフランスの名店「ラ・ピラミッド」のシェフであるパトリック・アンリルーが「キタノ東京」の総料理長である加茂健とコラボレーションし特別メニューを開発した。

加茂は世界のグランシェフに師事後、カンボジア王族直営レストランのシェフとして各国の王族や要人をもてなしてきた人物。彼が率いるホテル内「光庵」は、正統フレンチをアレンジした軽やかな料理で定評がある。「ラ・ピラミッド」は、リヨン郊外ヴィエンヌにある現代フランス料理の始祖であるフェルナン・ポワンによる伝説のレストランだ。ポール・ボキューズやトロワグロ兄弟など数々の偉大なシェフを輩出し、調理人育成学校辻グループ校を設立した辻静雄も足繁く通った名店中の名店だ。アンリルーは、89年にシェフに抜擢され、ミシュランに並ぶレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」の“今年の料理人”に選出されるなど高い評価を得ている。ルレ・エ・シャトーならではの世界的トップシェフ2人の共演に注目が集まった。

ガストロノミーでも重要視される環境と健康

「未来をつくる一皿」の特別メニューは、有機野菜やプラントベースの環境と健康に配慮した料理で構成された。アミューズは、イチジクやセロリなどの野菜や果物が主役のデザートのような3種類。それに続き、野菜中心の前菜3種が提供された。アンリルーによる“秋キノコのパンナコッタ カボチャとシメジを添えて”は、秋の恵みを感じさせる一皿で、キノコとクリームの旨味が凝縮された軽やかな味わい。“野菜のプレッセ 加茂シェフのイマジネーション”は、カラフルな野菜の断面が美しい一皿は、ゼラチンなどの動物性食材を使用せずつくられた一皿で、野菜一つ一つの味わいと食感が生かされた上品な味わいだった。“秋ナスのコンフィ ハーブのクルート カポナータ添え”も優しく滋味深い美味しさ。アミューズに、前菜3皿と盛りだくさんでありながらも、野菜の美味しさを生かして軽やかに仕上げられている。アンリルーは、「現代は今まで以上にガストロノミーでも健康が重要。それを考えた上で、メニューには15年前くらいから旬の野菜を積極的に使用している」と述べている。

フランス名店の味&幻のデザートが日本で

このコースの特徴は、野菜にフォーカスしながらも、美食家を十分に満足させるメニュー構成にある点だ。日本にいながら、名店「ラ・ピラミッド」の味を提供。メーンでは、エスカルゴを添えたスズキやポワン風肉料理が登場した。それら料理にもポロネギやセップ茸といった野菜で彩られている。魚や肉を使用しながらも、野菜の旨味を感じる繊細な味わいは、一流シェフならではだ。アンリルーは、「健康のため、野菜を多く使用するが、健康を考えるとタンパク質も大切だ。野菜7割、タンパク質3割が理想。野菜も肉も、食材に感謝して用意する」とコメントしている。彼は、初来日の際に触れた懐石料理の素材を大切にする姿勢に感銘を受け、全ての食材へ敬意を払った料理を提供しているという。
 
コースの目玉の一つは、「ラ・ピラミッド」のシェフパティシエを務める川村平によるデザートだ。 “世界最高のデザート”と呼ばれるデザート“マルジョレーヌ”は、ポワンが1950年に考案したメレンゲに生クリーム、プラリネクリーム、ガナッシュを挟んだ一皿だ。どっしりとしたデザートが主流だった当時に、軽やかなデザートとして絶賛された。現在「ラ・ピラミッド」では、事前予約のみに対応しているという幻のデザートだ。生クリームの優しい甘さとプラリネの濃厚な味が混ざり合う軽やかな食感は格別。“世界最高”と呼ばれるデザートは、フルコースの余韻を楽しみながら味わえる絶品だった。もう一つの“ピアノ ショコラ”は、ピアノの形をしたユーモラスな一品。“マルジョレーヌ”とは対照的な、コーヒーのほろ苦さが際立つデザートだ。フレンチでデザートは、コースの最後をどのように着地させるかシェフの腕が問われる。さすが、「ラ・ピラミッド」が名店と呼ばれる理由の一つがそこにあると実感した。

今でこそ、地産地消というローカライゼーションへの関心が高いが、「ラ・ピラミッド」ではポワンの時代からその地に根付いた食材を用いた料理を提供してきた。その精神を引き継ぎ、今も名店として愛され続ける同店。ルレ エ シャトーが掲げる世界の料理とおもてなし、その背景にある伝統の豊かさが伝わる美食イベントだった。

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