ファッション

専門家が「ジョーダン ブランド」の“リセット化”を提言 進む“ナイキ離れ”と競合ブランドの躍進

長らく人気を誇ってきたナイキ(NIKE)の「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」が、その勢いを失いつつある。

11月18日、米投資銀行TDコーウェン(TD COWEN)はナイキの目標株価を引き下げた。TDコーウェンのジョン・カーナン(John Kernan)マネジング・ディレクターのリポートによれば、「ジョーダン ブランド」は2019年度から24年度への5年間で、売上高を31億4000万ドル(約4835億円)から69億9000万ドル(約1兆764億円)へと2倍以上伸ばした。5年間の年平均成長率も17%を記録し、同期間の「ナイキ」の成長率の3倍以上だ。24年には、主力のバスケットボール製品だけでなく、サッカーやゴルフ、アメリカン・フットボールといった他スポーツへの進出が成長をけん引。東京やマニラでの積極的なマーケティングにより、アジア太平洋地域でのシェア拡大にも成功していた。だが、カーナンいわく「ストックX(STOCK X)」や「ゴート(GOAT)」などのリセール市場では、「ジョーダン ブランド」の人気は衰退している。

「度重なる人気モデルの復刻や過剰な商品供給により、ファンの多くが辟易している状態だ」とカーナンは語る。実際、10月31日時点のリセール市場では、1000点近い「ジョーダン ブランド」のアイテムが定価を下回る価格で取り引きされており、「よりプレミアムなブランディングと販路、価格設定が必要」と“リセット化”を指摘。また、この問題はナイキにも影響を及ぼしており、“エア フォース 1(AIR FORCE 1)”や“ダンク(DUNK)”などの人気スニーカーの供給を減らし、需要とのバランスを取ることを明らかにしている。

また、投資会社パイパー・サンドラー(PIPER SANDLER)が若年層に実施したアンケートでは、依然としてスポーツブランドおよびスニーカーブランドとしてトップの座は揺るぎないが、若年層の間で広がる“ナイキ離れ”と競合ブランドの躍進から、支持率は低下傾向にあることが判明。この結果、25年度の「ジョーダン ブランド」の売り上げは前年を下回ると予想。ナイキの全体売り上げに占める割合も、前年の13.6%から12.8%に減少すると見込まれている。

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