ユナイテッドアローズは11月25日、茨城県・境町と包括連携パートナーシップを締結した。ユナイテッドアローズが地方自治体と包括連携パートナーシップを結ぶのは初めて。染色加工大手の小松マテーレが両者をつなげた。小松マテーレはパートナー企業としてアパレル関連商品の素材や技術などを提供する。同地とゆかりの深い建築家の隈研吾が設計した“町の観光案内所”「ユナイテッドアローズ スタンド」を境町の道の駅に12月7日に開設することを皮切りに、ヒト・モノ・コトの多ジャンルにおよび町の魅力を発信していく。同日行われた記者発表会には、松崎善則社長執行役員CEOと橋本正裕境町町長、中山大輔小松マテーレ社長、隈研吾らが登壇した。
境町は、茨城県の西南部、県都の水戸市までは約70キロメートルの場所に位置する。人口は約2万4000人。ふるさと納税の寄付金額は、7年間連続で関東1位を獲得する。「子育て支援日本一」を掲げた手厚い子育てや教育支援、住居環境の整備によって県外からの移住者も集めている。また、隈研吾の建築による施設数は全国1位を誇る。
記者発表会で松崎CEOは、「当初はふるさと納税で何か取り組めないかという話だったが、知れば知るほど町全体が非常に魅力的で、私たちがそれを発信するお手伝いをしたいと思った。“生活文化のスタンダードを創造し続ける”という企業理念に沿って、社会に対する価値創造をできないかと常々考えているなかで、非常に良い取り組みが形にできた」と話した。
「ユナイテッドアローズ スタンド」では、ふるさと納税返礼品を含むオリジナルフードとドリンク、ファーマーズバッグとロングスリーブTシャツのスーベニアグッズの販売のほか、ユナイテッドアローズが編集した町の広報紙を配布する。そのほか12月7と8日には、「ユナイテッドアローズ アウトレット」の出張販売も予定。取り組みの宣伝をかねてユナイテッドアローズがデザインした特別ラッピングの自動運転バスや高速バスも運行予定だ。
ユナイテッドアローズデザインで40年ぶりに指定体操服が刷新
「町の住民の応援」も取り組みの柱に据える。その一つが町立小学校5校と中学校2校の体操着のデザインだ。橋本町長は、「住民から40年以上変わらない体操服のデザインを変えてほしいという要望は昔から多かった。卒業後もずっと着られるデザインにすることで、長く着用する服育にもつなげたい」という。
また境町が住民用の保養施設として所有する軽井沢の別荘を、ユナイテッドアローズがプロデュースする。2025年4月にオープン予定で、町民の宿泊のほか、公立学校の林間学校や英語合宿などにも活用する予定。
今後は、境町の定住促進住宅のプロデュースなども計画しているという。
松崎CEOは、「スローガンは、町の応援団ユナイテッドアローズとして、境町を明るく、おしゃれに笑顔にしてまいります、だ。各店舗の朝礼時やオフィス始業時に、このスローガンを社員同士で投げかけ合い、盛り上げていきたい」とコメント。橋本町長は、「本取り組みを通して、町のファンを増やしていきたい。私たちのような小さな町が企業とタッグを組むことで、他の自治体の前例となり地方創生の取り組みが日本全国で広がれば」と話した。