資生堂は、企業文化誌「花椿」をリニューアルし、11月28日に第1弾となる2024年号を刊行する。無料配布の形式はそのままに、発行部数を3万部から2万5000部に絞る。配布先は、資生堂関連施設、旗艦店、ライフスタイル提案型書店、ライフスタイルショップ、美術館、ギャラリーなどで、新たに欧米やアジアの主要都市での配布も計画する。今後は年1回の刊行とし、次号は25年秋に発行する予定だ。
前身の「資生堂月報」から数えると、「花椿」は今年で100周年となる。周年を迎えてリニューアルした理由を塚田優子編集長は「23年に『資生堂がなぜ花椿を刊行しているか』の役割を考えるタイミングがあった。会社がグローバル化に舵を切る中であらためて創刊当初から掲げる『美しき贈り物』として読者に届ける形を模索し、リニューアルに至った」と説明する。
新クリエイティブディレクターはクラリス・ドゥモリ
リニューアルの大きな方針は「グローバル」と「リッチ」。雑誌からアートブックスタイルへ移行し、24年号は日英バリリンガル版で制作した。クリエイティブ・ディレクションには、パリを拠点に活動するクラリス・ドゥモリ(CLARISSE DEMORY)を迎えた。「彼女が作るクリエイションが『花椿』の目指す世界観と合致する」(塚田編集長)ことと、初来日ということもあり「新しい視点を見つけてくれるのでは」という期待から起用に至った。資生堂と関わりがなかった人物を外部から起用することは、「花椿」にとって初めてだ。
24年号の制作にあたり、クラリスは過去のアーカイブを総覧し、資生堂が持つギャラリーやレストラン、資料館、工場、店舗に足を運んだ。本誌には、過去のアーカイブから写真や文章を再編集したページを盛り込んだが、「内部で慣れているものには気づかない『資生堂』の美しさや価値を再発見してくれた」と塚田編集長は振り返る。
クラリスは「資生堂は日本を代表する企業の1つ。彼らが刊行する『花椿』を任せてもらえる責任感を感じながら仕事をした」とコメント。24年号のテーマに据えた「CARE」については、「日本に来る前から構想を練っていたが、訪れたことでその精度がさらに高まった。日本での安心して過ごせる空間や清潔な環境を通して『CARE』の重要性をあらためて感じた」と話した。
アザーカットを展示
22日、東京・中目黒のギャラリー「LICHT」でメディア関係者向けにお披露目パーティを実施した。誌面に登場する写真を撮影した、ヴィヴィアン・サッセン、オスマ・ハヴィラティ、題府基之、細倉真弓、松本直也などによるアザーカットを展示した。