大手アパレルのワールドは28日、三菱商事の子会社でアパレルOEM事業を運営する三菱商事ファッションの全株式を取得し、完全子会社化すると発表した。取得価額は93億円。株式譲渡日は25年2月中を予定する。
ワールドは三菱商事ファッションについて「三菱商事グループのアパレル・雑貨・靴の素材・製品のグローバルな調達力や生産・物流のシステム、生産背景や顧客基盤、グローバルな人材を有している」とし、子会社化により「サプライチェーンの川上の企画・開発・生産・物流のリソースやノウハウの拡充」や「B2Bのプラットフォーム事業の拡大」を狙う。
想定する具体的なシナジーの一つが、三菱商事ファッションの企画・調達能力を生かした、OEM事業の拡充だ。これまでワールドは、ブランド事業で培ったブランディング、MDノウハウを生かしてOEM事業運営してきたが、三菱商事ファッションの企画提案力や生産背景を活用することで、さらなる既存顧客の売上拡大や新規案件の獲得を見込めるとする。
2つ目が、アパレル事業とデジタル事業に並ぶ柱である、BtoBの「プラットフォーム事業」の強化。ワールドのプラットフォーム事業は、サプライチェーンの川下までカバーし、デジタル事業のB2Bソリューションとも連携した幅広いサービスを展開している。三菱商事ファッションの、「他のOEM企業には見られない」課題解決型事業のサービスをここに組み込み、さらなる付加価値を提供する。
3つ目が、ブランド投資事業の拡大。ワールドは、日本政策投資銀行と合弁で投資会社W&Dインベストメントデザインを設立するなど、M&Aを成長戦略の中核に据えている。三菱商事ファッションの案件開拓能力、投資判断のノウハウを吸収し、投資先の開拓やバリューアップ、投資先ブランドの経営力につなげる。
三菱商事ファッションの24年3月期連結業績は、売上高が919億円、営業利益が35億円、純利益が22億円。ワールドは、今回の株式取得が25年2月期連結業績に与える影響については「精査中」とし、業績予想値の修正・公表の必要性が生じた場合は速やかに開示するとしている。
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