ビームスは、新業態「ビームス ライフ 横浜」を横浜駅西口の商業施設「横浜モアーズ」1、2階に11月30日にオープンする。売り場面積は、約991平方メートルで同社最大規模のコンセプトショップだ。既存のメンズレーベルからアート、カルチャー領域までを網羅する全11レーベルを集結。「スターバックス(STARBUCKS)」との協業スペースや、オリジナルのフードメニューを提供する飲食スペースなどにも新たに挑戦する。設楽洋社長は、「創業から50年、さらにその先の試金石になるような、自分でも想像していない未来を作れる店にしたい」と意気込む。
オープンに先駆け、29日、関係者向けに内部を公開した。1階正面は、同店の目玉コンテンツの1つである飲食スペースを併設する食物販エリアだ。ビームス社員がイチオシのアイテムを紹介するオンラインショップ「B印MARKET」による、初の食に特化した実店舗として全国津々浦々から社員が選んだこだわりの食品が並ぶ。カウンター席では、ナチュラルワインやクラフトビール、オリジナルのおつまみなどを提供するほか、物販エリアで販売する一部飲料商品の抜栓サービスも行う。
食物販エリアを抜けた先には、同社のアート・カルチャー領域の事業を束ねるプロジェクト「ビームス カルチャート(BEAMS CULTUART)」やTシャツ専門レーベル「ビームスT(BEAMS T)」、日本のモノ作りに焦点を当てた「ビームス ジャパン(BEAMS JAPAN)」、インテリア雑貨の「フェニカ(FENNICA)」などが出店する。世界中の生活雑貨を中心としたセレクト業態「ビーピーアール ビームス(BPR BEAMS)」は、通常店舗ではレジ付近のギフトコーナーなどで展開してきたが、同店では広くスペースをとった。「ビーピーアール ビームス」ディレクターが惚れ込んだ、韓国の人気ショップ「サミュエル スモールズ(SAMUEL SMALLS)」とのコラボコーナーも同エリアで楽しむことができる。
1階にはそのほか、メンズカジュアルの「ビームス」や加藤忠幸バイヤーが手掛けるサーフ&スケートライン「SSZ(エス エス ズィー)」などを配置した。
2階はメンズドレスを集積 その場でお直しができる「ビームス工房」も
2階のフロア半分は、メンズのドレスレーベル「ビームス エフ(BEAMS F)」が占め、オーダーサロンも併設する。店舗奥には「ビームス工房」と名付けたスペースがあり、お直しサービスを提供する。通常「ビームス エフ」では出来上がりまで1週間〜10日程度かかるお直しが、同店ではその場で即日商品の受け渡しができる点が魅力だ。「ビームス工房」では専任スタッフ3人が常駐し、過去に購入したビームス商品のお直しも受け付ける。今後は、他社の商品にも対象を広げる計画だ。
同フロアでは、ビームスの創業ルーツに通ずるアメリカンビンテージの古着を集積させた売り場もある。渋谷区・富ヶ谷の古着店「ミスタークリーン」がキュレートした商品や、社員の私物など約300点が並ぶ。今後は異なるテーマを設けてさまざまな切り口で古着の魅力を提案する。古着エリア横では、古本店マグニフとの協業で古本を販売し服やカルチャー誌を通してファッションのルーツを学ぶことできる空間だ。
また「スターバックス コーヒー横浜モアーズ店」も同フロアに入る。23年に発売したコラボレーションアイテム6型を同店限定で再販する。
多面的な魅力を伝え、「『やっぱりビームスは面白い』と思ってほしい」
同店は約1年半の構想期間を経て実現した。事業責任者の渡部啓司執行役員は、「ビームスはファッション以外にもアートやカルチャー、民藝などさまざまな領域で取り組んできたが、これまでの複合店ではそうした多面的な面白さを伝えきれていなかった。ビームスの感度の幅の広さ、そして奥行きをお客さまに感じてもらいたい」と話す。ターゲットについては、「新規のお客さまもそうだが、ビームスを離れたお客さまに『やっぱりビームスって面白い』と思ってもらえることが目的だ」という。
横浜を選んだ理由は、土地の集客力に加えて地元コミュニティーとのつながりの深さが決め手となった。たとえば、1階の飲食スペースでは地元の老舗中華店の肉まんを提供したり、フロアマップのイラストは横浜で活躍するアーティストにオファーしたりするなど、コミュニティーに根差した店作りに挑戦する。
「今までは商品軸で話題を提供してきたが、ここでは店起点でたくさんの話題が生み出せるように仕掛けていきたい」と渡部執行役員。スタッフはアルバイトを含め約40人で、「特に個性の強いメンバーを集めた」という。なお、売り上げ目標は非公開。
■ビームス ライフ 横浜
オープン日:11月30日
時間:10:00〜21:00
定休日:不定休
場所:横浜モアーズ1階・2階
住所:神奈川県横浜市西区南幸1-3-1