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資生堂「バウム」の4年目を迎えた植樹活動を体験 80年かけて大木に

少し前になりますが資生堂の「樹木との共生」をテーマに掲げるスキン&マインドブランド「バウム(BAUM)」が2021年から岩手県盛岡市で行う植樹活動に参加してきました。同社は植樹活動を実施するために岩手県盛岡広域振興局と住友林業と10年間の協定を結び、盛岡市の伐採跡地約2ヘクタールに毎年約600本のオーク(ミズナラ)を植え、オークの森にすることを目指しています。

盛岡駅から車で1時間ほどの場所に植樹地である岩手県立自然公園があります。岩洞湖を囲んだような植樹地「バウムオークの森」は、2018年に伐採され山肌が見えている箇所です。晴天に恵まれ、冬に差し掛かる直前でしたが作業中は上着がいらないほどの気温でした。

累計植樹数は2400本

「バウムオークの森」に着くとカルメル アズサ「バウム」グローバル コミュニケーション マネージャーが「4回目となる今回の植樹で2400本が根付くことになります。毎年訪れると『バウム』の植樹活動の輪が少しずつ広がっていることをうれしく思います。いつも丁寧な見回りと下刈り、鹿対策で『バウムオークの森』を守ってくれている岩手県森林整備協働組合、的確なアドバイスをくれる住友林業のみなさんに感謝しています。皆さん、無理をせず植樹を楽しんでください」と挨拶し、「バウム」の店舗スタッフやクリエティブチーム、10月から岩手県で初めて「バウム」の取り扱いが始まったパルクアベニュー・カワトクの営業本部長なども参加し、約60人で植樹作業を開始しました。

ちなみに植樹する苗木は「バウム」の直営店で育てています。店舗を「お客さまが樹木の恵みと出合う場所」と捉えているからです。住友林業が種を発芽させ、それを各店舗で水やりをして苗木を育て、「バウムオークの森」に返しています。

6チームに分かれ植樹をしたのですが、想像を超える急斜面に足がすくみます。私は前の人が進んだ後をなぞってようやく登れました。そして植樹の開始です。等間隔に植えるための目印の棒を抜き、苗木を植える深さの穴を掘ります。穴に苗木を入れたら周りに土を戻し足で踏み固めて完成です。1株あたりの植樹作業は5分もかからずにできますが、急斜面で滑らないように足を踏ん張りながらの作業のため普段使わない筋肉が悲鳴をあげつつありました。

4年で約1メートル成長

岩手県森林整備協働組合の人たちによる熊笹の下刈りや、鹿による食害から逃れた4年前に植樹したオークは1メートル程度に成長していました。大木になるには80年ほどかかるそうです。

1時間ほどの作業を終えると、岩洞湖家族村キャンプ場に移動しランチタイム。釜焼きピザを用意してくれ、湖畔にブルーシートをひいてみんなでピザやお弁当を食べて疲れを癒しました。住友林業からはお土産に端材で作ったコースターを頂きました。今もこのコースターを見るたび、植林活動のことを思い出し苗木は元気に育っているだろうかと思いを馳せています。こうした体験がブランド、商品愛につながることをあらためて実感しています。

初めて600本を店舗で育成

植樹活動後に中村 健太郎=住友林業 森林・緑化研究センター長に話を聞くと、今回が初めて600本の苗木全てを「バウム」の直営店で育てたものでできたそう。これまでは両社で空調や光の当り方、水のやり方などを試行錯誤しながら苗木を育成してきたのこと。苗木にするまでの道のりも長いのです。種まきから2、3㎝まで成長するのに約2カ月要します。それを店舗に送り3カ月程度育てます。その後、住友林業の畑に戻り2、3年かけて植樹できるほどの苗木になるわけです。畑に直に種まきをすれば1年程度で植林できるほどの苗木に成長するそうなのですが、店舗で育てるために小分けにすることで植物にストレスがかかり成長まで時間がかかるとのことでした。

そこまでして植樹活動に協力する理由を中村センター長は「資生堂から木を主軸にした『バウム』を展開することになり、原料に使用するので木に恩返しできるような取り組みをしたいと相談をうけたことからです」といいます。住友林業では、森林(植林、育林)から木材、建築、再利用、植林という脱炭素事業のウッドサイクルを提供しているため、「もう一歩踏み込んだ取り組みはどうか」と提案し、店舗で苗木を育成することにつながったそうです。

「1年間で0.2ヘクタールに植樹し、10年間で2ヘクタールの『バウムオークの森』が完成します。最終年には1年目に植えたオークが2メートルほどに成長していると思います。そうなるとウサギやネズミなども森に戻ってくるでしょう。炭素だけの話ではなく、生物多様性にもつながる取り組みになります」。また、「バウム」との協業で若手雇用が難しい林業に目が向き、「林業の楽しさが伝わるとうれしい」と期待を込めて語っていました。

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