コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)は、傘下に持つヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)の新たな最高経営責任者(CEO)として、同ブランドのローラン・ペルヴェ(Laurent Perves)最高商務責任者を任命した。また、やはり傘下に持つジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)の新CEOとして、ジェローム・ランバート(Jerome Lambert)=リシュモン最高執行責任者(COO)を任命した。いずれも1月1日付で就任する。
今年、リシュモンでは人事異動が続いている。6月には、ニコラ・ボス(Nicolas Bos)=ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)CEO(当時)がリシュモンのCEOに就任。これに伴い、同職を務めていたランバートCEOは以前の役職だったCOOに戻り、ボス新CEOの直属に。7月には、やはりリシュモンが擁するカルティエ(CARTIER)のシリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)=プレジデント兼最高CEOの退任を発表。これに伴い、新たなCEOとして、ヴァシュロン・コンスタンタンのルイ・フェルラ(Louis Ferla)CEOが9月1日付で就任している。
2人の新CEOの経歴について
ペルヴェ新CEOは、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の香水&コスメティクス部門でキャリアをスタート。その後、プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)のマーケティングや事業開発部門で10年過ごした。2014年にはオーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)に加わり、ブランド・コミュニケーション部門ヘッドを2年務めた。16年には、最高マーケティング責任者としてヴァシュロン・コンスタンタンに入社。21年に現職に就任した。
ランバート新CEOは、スイスの国営企業である郵便事業会社スイスポスト(SWISS POST)の財務部門で経験を積み、1996年にファイナンシャル・コントローラーとしてジャガー・ルクルトに入社。99年に同社の最高財務責任者に就任し、2002年から13年までCEOを務めた。また、09年から11年まで、同じくリシュモンが擁するドイツの高級時計ブランド、A.ランゲ&ゾーネ(A. LANGE & SOHNE)のCEOを兼任している。13年には、やはりリシュモンが保有するモンブラン(MONTBLANC)のCEOに就任。17年からリシュモンのCOOを、18年からはCEOを務め、24年6月から現職。
リシュモンの業績は?
リシュモンの24年4〜9月期(上半期)決算は、売上高が前年同期比1.4%減の100億7700万ユーロ(約1兆5921億円)、営業利益は同16.9%減の22億600万ユーロ(約3485億円)、純利益は同69.6%減の4億5700万ユーロ(約722億円)だった。なお、継続事業での純利益はおよそ17億ユーロ(約2686億円)だったものの、傘下のラグジュアリーEC大手ユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP)の売却に伴う非継続事業の損失が13億ユーロ(約2054億円)程度だったことから、差し引きで大幅減となった。
部門別に売上高を見ると、「カルティエ」や「ヴァン クリーフ&アーペル」を擁するジュエリー部門は同2%増、「クロエ(CHLOE)」や「ダンヒル(DUNHILL)」などを擁するファッション&アクセサリー&その他部門は同4%増と微増だった。しかし、「ヴァシュロン・コンスタンタン」「ジャガー・ルクルト」「ピアジェ(PIAGET)」などを擁するウオッチ部門は、高級腕時計の一大市場である中国の景気後退やスイスフランの高値などを背景に同17%減と、厳しい結果となっている。