東京を拠点に、日本発信のトレンドを提案する「ア ベイシング エイプ®(A BATHING APE®)」(以下、「ベイプ®︎」)。1993年のブランド設立以来、30年以上にわたりストリートファッションをけん引し、日本国内だけではなく、アメリカ、イギリス、フランス、中国など、世界中で愛されるブランドとなった。12月5日には東京・銀座の中央通りに新たに路面店「ベイプストア® 銀座(BAPE STORE® GINZA)」をオープンした。同店には「ベイプ®︎」のフルコレクションに加え、最高級ラインの“ベイプ ブラック(BAPE BLACK®)”や「スワロフスキー(SWAROVSKI)」とのコラボコレクションなど、特別なアイテムをラインアップする。
東京・原宿発のストリートブランドが銀座に路面店を出店するのは大きな挑戦であり、ノーウェアは「ベイプストア® 銀座」を含めると今年だけで5店舗目の出店だ。成長を続ける「ベイプ®」の強さの秘密はどこにあるのか。今年2月、新たにノーウェアの社長に就任したシモーネ・ウゴリーニ(Simone Ugolini)氏に話を聞いた。
シモーネ・ウゴリーニ社長が語る
「新たな成長戦略」
WWD:ノーウェアの社長に就任し、10カ月ほど経つが、どういったことに注力してきた?
シモーネ・ウゴリーニ=ノーウェア社長(以下、シモーネ):「ア ベイシング エイプ®」(以下、「ベイプ®」)は1993年に誕生し、30年以上の歴史がある。私はこれまで主にイタリアやフランスのラグジュアリーブランドで働いてきたので、まずは「ベイプ®」というブランドのDNAやコード、歴史を勉強し、そこで改めて「ベイプ®」の商品やストアの素晴らしさを理解した。ブランドマーケティングは、プロダクト、プレイス、プロモーション、プライスの“4P”を考えるが、今年からこの“4P”を“4C”に変えた。“4C”は、コンシューマー、コミュニティー、カンバセーション(対話)、コンシダレーション(思いやり)で、これまで商品や店舗という点で考えていたものから、それを起点によりお客さまとのつながりを重視する方針にした。インスタグラムやLINEでのオンラインでのコミュニケーションも積極的に活用しつつ、その分、店舗では特別な体験を提供し、楽しんでもらえるように考えている。
WWD:「ベイプ®」の強みはどこに感じている?
シモーネ:「ベイプ®」はとてもユニークなブランドだ。日本のストリートカルチャーを、“メイド・イン・ジャパン”の高いクオリティーでファッションを通して表現してきた。加えて、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「マスターマインド(MASTERMIND)」など多くのブランドとコラボレーションするなど、良い関係性を築いている。さらにアートやミュージックと関わりが深いのも「ベイプ®」の強さだ。アートでいえば、11月に渋谷のミヤシタパークのアートギャラリー「SAI」でアート展「ベイプギャラリーTM トーキョー」を開催し、国内外のアーティストやブランド25組とコラボレーションを行った。ミュージックに関しても「ベイプ®」の歴史は常に音楽と密接に関係してきた。今年はニュージーンズ(NewJeans)のライブ用に「ベイプ®」が衣装を提供するなど、多くのアーティストとお互いにリスペクトし合い、自然と良い関係ができている。カルチャー、アート、ミュージック、この3つの強みを持つ「ベイプ®」には、まだまだ成長の可能性を感じている。
WWD:社長就任以降、3月に「エーエイプ(AAPE)」京都店、4月に「ベイプキッズ®(BAPE KIDS ®)」の阪急梅田本店と京都高島屋S.C.店、8月に新コンセプトストア「ベイプ® シンク(BAPE® THINK)」と、次々にオープンしてきた。積極的に出店する狙いは?
シモーネ:もちろん一番は成長を続けるため。そのためにはメインの「ベイプ®」だけでなく、ほかのブランドも育てていかなければいけない。「エーエイプ」と「ベイプキッズ®」の出店はそれが大きな理由だが、おかげさまでどの店舗も好調だ。一方で8月にオープンした「ベイプ® シンク」は初となるコンセプトストア。今年31周年を迎え、新たな挑戦の一つがこの店舗で、「ミスター ベイシング エイプ®(MR. BATHING APE®)」を中心に、特別なコラボアイテムや人気のスニーカー“ベイプスタTM”を豊富にそろえている。3階にはVIPルームを用意し、お客さまにとって特別な体験ができる店舗となっている。
「ア ベイシング エイプ®」に
受け継がれる“パイオニア精神”
WWD:12月5日には「ベイプストア® 銀座」がオープンしたが、出店の経緯は?
シモーネ:ブランドビジネスで考えると銀座に路面店があった方がいいとは考えていた。今回、銀座のメイン通りである中央通りでかつ路面店という良い条件だったのが出店の大きな理由の一つだ。ただ、出店するにしても、その場所でコミュニティーがしっかりと育っていくことが大切だ。原宿発のストリートブランドが銀座のメイン通りに路面店を出店することは大きな挑戦だが「ベイプ®」は設立以来、常にパイオニア精神を持ってやってきた。今回もそのパイオニアになりたいと考えている。
WWD:銀座店の特徴は?
シモーネ:銀座の街に合わせて、外観も内観もウッド調をベースにしている。外観の「エイプヘッド」はまさに“ブランドの顔”の役割で、ブランドの認知度を高めることに大きく貢献してくれるはずだ。さらにそこに銀座店ならではのウッド調のカモ柄をデザインし、外からでも「ベイプ®」の雰囲気が伝わるようにした。内装では1階は大きなウインドウでウェルカムな雰囲気を出しつつ、2階はゆったりと買い物ができるようにアイテムを配置している。什器も銀座店のために高級感のある特別なものを用意した。
WWD:アイテムに関しては?
シモーネ:銀座店では「ベイプ®」のフルコレクションに加え、ハイエンドラインの“ベイプ ブラック”を展開する。2階の中央の商品台には時計やジュエリーのアイテムを豊富にラインアップする。「ベイプ®」の顧客の大部分はZ世代だが、このブランドは30〜40代の人々の間でよく知られている。新しい店舗の目的は、銀座のコミュニティーを拡大し、複数の世代に真にユニークな「ベイプ®」体験を提供することだ。加えて、ウィメンズのアイテムを多く取り扱う。「ベイプ®」はメンズに強いブランドだと思われているかもしれないが、メンズとウィメンズの比率は約6:4。近年はウィメンズの売り上げが好調で、今年は前年比40%増で伸長している。特にZ世代は150%増で成長しており、ポテンシャルがあると感じている。
WWD:インバウンドの集客も考えている?
シモーネ:もちろん、グローバルなお客さまとより接点を持つというのは銀座店の狙いの一つではあるが、それよりもローカルのお客さまの方をメインに考えている。現在ローカルとインバウンドの売り上げ比率は約6:4。私たちがさらに成長を続けるにはローカルによりフォーカスしなければならないし、そのコミュニティーをしっかりと銀座でも作っていきたい。
WWD:「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」内にも「ベイプストア®」があるが、どう差別化していくのか。
シモーネ:「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」と「ベイプ®」は長年にわたり良好なコラボレーションを続けており、随時リリースする特別なコラボレーションを通じて、常に良い関係を育んでいる。「ドーバー」には複数のブランドが入っているので、そこで「ベイプ®」を知る人もいる。そうした新規のお客さまとの接点を持てるのは大きなメリットだし、「ドーバー」に来るお客さまと「ベイプ®」の親和性は高いと考えており、2つの店舗が良いバランスで共存できるはずだ。
WWD:2025年の具体的な出店などは決まっているか。
シモーネ:23年は過去最高の売り上げだったが、今年はさらにそれを上回って20%以上伸長している。特にローカルのお客さまが前年比で40%ほど増えており、まだまだ国内でも伸ばすチャンスはあると考えている。どういった形態かまだ決まってはいないが、来年はさらなる出店を検討している。ぜひ楽しみにしていてほしい。
落ち着いた雰囲気の店内
コラボアイテムも販売
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「ベイプストア® 銀座」は、1階と2階を存在感のあるらせん階段で行き来できる2フロア構成。親しみを感じさせるウッドを基調に「ベイプ®︎」らしい遊び心を加えた高級感のある店内に仕上げた。
1階は全面透明なガラス張りで、気軽に入れるような空間作りを心掛けた。入って右手には2階へと続く存在感のあるらせん階段があり、正面には、同店限定の「スワロフスキー」とのコラボコレクションや「ベイプストア® 銀座」オリジナルカモ柄を使用したオープン記念の「エイプヘッド」Tシャツを並べた。左手には“ベイプ ブラック”や「バウンティーハンター(BOUNTY HUNTER)」やラッパーのドン・トリバー(Don Toliver)とのコラボコレクション、スニーカー“シャークスタ”などがディスプレーされている。
2階は中央には時計やアクセサリーをディスプレーした同店のための特別な商品棚を配置。両サイドにはウィメンズを含む「ベイプ®」のフルコレクションを並べ、広々としてゆったりと落ち着いて買い物がしやすい空間を演出。銀座の街に合わせた新たな「ベイプストア®」が誕生した。
オープニングには
「ベイプ®︎」ゆかりのセレブが来場
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12月4日に「ベイプストア® 銀座」で開催されたオープニングレセプションには、俳優でモデルのKōki,やラッパーのSWAY、DJ Dirtykrates a.k.a. Zeebraなど「ベイプ®︎」にゆかりのある多数のゲストがお祝いに駆けつけた。DJ Dirtykrates a.k.a. ZeebraによるDJなどもあり、会場は大いに盛り上がった。
営業時間:11:00〜20:00
住所:東京都中央区銀座2-6-5
ノーウェア
03-5410-6310