タトゥー市場が、若者を中心に盛り上がりを見せている。市場調査リポートとカスタムサービスを提供するフォーチュン ビジネス インサイト(FORTUNE BUSINESS INSIGHTS)によると、世界のタトゥー市場規模は2023年に20億3000万ドル(約3126億2000万円)と評価された。24年の22億2000万ドル(約3418億8000万円)から32年までに48億3000万ドル(約7438億2000万円)に成長すると予測されており、予測期間中に年平均成長率は10.2%を示す。ナチュラルおよびビーガンのサービスや商品の需要の高まりにより、マクロレベルで市場の成長が促進されているという。また、タトゥー顔料や機械、アフターケア商品の改良などの技術進歩が、さらなる成長に寄与している。(この記事は「WWDJAPAN」2024年12月2日号からの抜粋です)
日本のタトゥー人口は8年間で約2倍に
APAC(アジア・太平洋)地域は最も急速に成長している地域の一つであり、業界関係者にとって今後数年間で有利な市場として機能する可能性がある。都留文科大学で、イレズミを中心とした文化人類学的研究を行う山本芳美教授によると、日本のタトゥー人口は14年から22年の間にほぼ倍増し、約140万人となった。なお20年には、医師免許がない人でもタトゥー施術ができると日本の最高裁が判断を下し、広く受け入れられるための後押しとなった。
日本でも近年、都市部の街中や音楽フェスをはじめファッション感度の高い人が集まる場所では、タトゥーを入れた人々が多く見られるようになった。「WWDJAPAN.com」でタトゥーに関わる記事を公開すると高セッション数をたたき出すことからも、タトゥーへの注目度がうかがえる。ここでは、タトゥー市場の盛り上がりを裏付ける新興タトゥースタジオを紹介するとともに、ファッション&ビューティ業界で現在タトゥーがどのように受け入れられているのか、そして同業界は今後どのような未来へ進んでいくべきと考えられるのかをまとめた。
INTERVIEW 1:
TATTOO STUDIO KAGEROU
カゲロウ
YUKEN/タトゥーアーティスト兼「カゲロウ」店長
売上高68%増
需要が高まるタトゥー業界の底上げを図る
2023年10月、東京の日本橋にオープンしたタトゥースタジオ「カゲロウ(KAGEROU)」は、タトゥーのイメージを変えるために活動している。「誰でも安心して来られる場所」を目指し、店舗設計のほか、ホームページやSNSでの情報発信にも注力する。山田良明カゲロウ社長と、YUKEN店長に「カゲロウ」設立の経緯や今後の展望を聞いた。
タトゥースタジオというと、薄暗いバーの個室の裏にあったり、タバコの煙が漂っていたり、いささかアンダーグラウンドで近寄りがたいイメージを持っている人も少なくないのではないか。白を基調にしたクリーンな空間がヘアサロンやネイルサロンをほうふつさせる「カゲロウ」は、大理石調の床が印象的で、大きな窓から日光が降り注ぐ。山田社長は、「明るくて、お客さまが入りやすい物件を探した」と話す。実際、ファーストタトゥーを入れにくる人も多いという。
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