ビューティ

2025年のビューティシーンはどうなる? 「トレンドの見つけ方」に密着

定期的に開催し、好評を博しているWWDJAPAN主催の「トレンドセミナー」。今回は10月28日に行われた「トレンドの見つけ方」に密着し、2024年の美容トレンドを振りかえる。さらに、登壇した村上要編集長、牧田英子副編集長、アイスタイルの西原羽衣子リサーチプランナーと原田彩子リサーチプランナーに、それぞれの視点から「2025年の美容トレンド」を聞いた。

24年WWDJAPANの特集から
社会情勢と美容の関係を振りかえる

「トレンドの見つけ方」セミナーの第1部ではWWDJAPAN編集部から、村上編集長と牧田副編集長が登壇。今年1年の本紙特集を振り返り、社会情勢とビューティの関係をひもといた。

まず「ファッションとビューティの関係」について解説したのが、村上編集長だ。Z世代においては、男性がウィメンズのバッグを購入することが当たり前となっているように、「ジェンダー概念の変化」が消費行動にも影響しているという。化粧品分野でも、女性が支持するブランドや、韓国コスメを選ぶ若い男性が増加している。

「もう1つ注目すべきは、主にこのような若い世代に向けて、ラグジュアリーファッションブランドが『コスメ&フレグランス』に注力していることです。背景には、近年のバッグや革小物の価格上昇があり、新たなエントリーアイテムとして期待されている。23年にケリング(KERING)がビューティ部門のケリング ボーテ(KERING BEAUTE)を設立したのも、象徴的な出来事の1つといえるでしょう」。

一方で、ビューティ担当である牧田副編集長は、若年層も含め「美容医療が広がりをみせていること」に注目。それにともないコスメは『効果・効能主義』にシフトしており、オーガニックブランドであっても、効果や実感が求められる傾向にあるという。

「さらに、24年現在『女性の半分以上が50代を越えている』ことも見逃せないテーマです。マチュア世代においては、すでに『ビューティ=健康』という考え方が定着しており、インナーケアなどの新領域が拡大した1年でした。若年層ではメンタルヘルスへの注目度が高まり『美しさと健康』は、切り離せない存在であると感じています」。

アットコスメのクチコミから考える24年の生活者意識

第2部では、アイスタイルの西原羽衣子リサーチプランナーと原田彩子リサーチプランナーが登壇。まず24年上半期の「@cosmeベストコスメアワード」のデータを元に、西原リサーチプランナーは「中価格帯コスメへの注目度の高まり」を指摘した。

「世代を問わず価格と品質のバランスがよいという声が目立ち、ポジティブな感想が86%を占めました。上半期のキーワードとして、『五感美容』もトレンドの1つです。炭酸配合コスメのシュワシュワ感や、メイクパフのモチモチ感など、感触が印象的なアイテムですね。使用した本人の心地良さに加え、口コミやSNSを通じて他者に魅力を伝えやすい面も大きいと思います」

続く24年下半期の注目ワードとして、「バリュパ消費」をあげたのが原田リサーチプランナーである。コスパ、タイパに続く「バリューパフォーマンス」を意味するワードだ。

「最初に時間や労力、お金をかけることで、のちのちそれを上回るリターンが期待できるアイテムを差します。例えば、ちょっといいブラシに投資することで、メイク時間の短縮や、仕上がりの美しさに繋がるという感じです。このような消費傾向は、今後拡大していくのではないでしょうか」

それぞれの視点から繰り広げる2024年のトレンド分析に、約30人の参加者たちも熱心にメモを取っていた。セミナー修了後、登壇者4人に個別取材を実施。一足お先に「25年の美容トレンド」を聞かせてもらおう。

WWDJAPAN村上要編集長の25年美容予想
「存在感を増す『ラグジュアリーブランドのコスメ』」

ラグジュアリー系ファッションブランドの「コスメ&フレグランス」は、ますます存在感を増していくと予想しています。ライセンスではなく内部で開発を行い、ファッションの世界観との融合をはかる動きがある。最も象徴的な存在が「セリーヌ(CELINE)」です。セリーヌ ボーテ(CELINE BEAUTE)は、デザインをエディ・スリマン(Hedi Slimane)が手がけ、究極の「赤のリップ」1本からスタートした。直営店においてファッションと同じ空間で展開する販売手法の面でも注視しています。今後は他のラグジュアリーブランドも含め、ケースやツールなど魅力的なアイテムを提案し、ファッションの世界とブリッジしていくのでは。そしてそれらが、中長期的にバッグや革小物に変わる新たなエントリーアイテムとして機能していくと考えています。

WWDJAPAN牧田副編集長の25年美容予想
「サステナブルから『ウェルビーイング』へ」

ビューティ分野における訴求として、サステナブルから「ウェルビーイング」に軸足が移行しているように感じます。地球環境への配慮はもはや当たり前となり、次に見据えるのは「人生100年時代をいかに健康に過ごしていくか」というテーマ。コロナ禍を経て健康意識が拡大したこともあり、24年は化粧品会社各社がインナーケアを打ち出した1年でした。代表例の1つがコーセーの“ニューリズム(NU+RHYTHM)”。美容に特化したプロテインに、コラーゲンペプチド、ビタミン、乳酸菌などを配合し、パッケージも女性を意識した展開です。9月発売の初速は好調と聞いており、美容に特化したインナーケアは、25年も注目されるのではと期待しています。

アイスタイル西原リサーチプランナーの25年美容予想
「ファッションの一部として楽しむ『じゃら✕2』コスメ」

韓国ブランドを中心に、バッグやスマホに「じゃらじゃらつけられる」、キーリングやチェーン型のコスメが増えている印象です。その象徴ともいえるのが、5月に日本上陸した韓国ブランド「ブレイ(BRAYE)」の“リップスリーク”。非常にファッションを意識したアイテムであると感じます。24年はその他のブランドも含め、ポップアップやイベントのみで手に入るキーリング目当てに、行列ができるような現象も発生しました。「ファッションの一部としてコスメを魅せる」という意味で、このようなアイテムはハイブランドのコスメとも、相性が良いのではないかと思います。

アイスタイル原田リサーチプランナーの25年美容予想
「ほのかに香る『万人受け』フレグランス」

コロナ禍を経てフレグランスへの注目が高まり、幅広い層で香りを楽しむ土壌が整ったと感じます。そんな中、コロナ明け初年度の23年に口コミの中で出現率が増加したのが「万人受け」というワードでした。この頃から人と会う機会が増え、自分の好みだけでなく周囲のことも考えた商品選びにシフトしたのではないでしょうか。万人受け軸とはまた別に、口コミの中で「ほのかに香らせる」ボディーケアや、ヘアフレグランスへの注目度も高まっています。プチプラの「キャンメイク(CANMAKE)」が展開する“メイクミーハッピー”シリーズのようなアイテムが、フレグランス入門編として多くの人に浸透していくように思います」。

ビューティの最前線で活躍する4人による美容予想、いかがだろうか?年明け早々には春夏のメイクアップコレクションや、大型のスキンケア登場も控える25年。どのようなトレンドが生まれるか、興味深く見守りたい。

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百貨店やサステナ、デザイナー人事など14のトピックスで記者と専門家が25年を展望 そっくりさん企画復活!

2024年最後の「WWDJAPAN」は、24年を振り返りながら、25年を展望します。「デザイナー人事」「メンズ」「国内アパレル」「スポーツ・アウトドア」「百貨店」「国内セレクトショップ」「サステナビリティ」「バーチャルファッション」「素材」「ジュエリー」「海外ファッション業界のM&A」「ヘアサロン業界」「ビューティプレステージ」「百貨店(化粧品)」という14のトピックスで、「WWDJAPAN」記者…

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