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連載 小島健輔リポート

VTuber百花繚乱 両雄のビジネスを徹底比較【小島健輔リポート】

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ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。今回はVTuberについて論じる。アパレルビジネスの収益性の低さに比べて、VTuberビジネスの利益率が極めて高い。ここでは大手2社の動きと数値を比較して、その事業モデルを解剖する。アパレルビジネスが学ぶべき点は多い。

インフレ下で服飾支出が削られる中、なぜか推し活支出だけは伸びている。中でも成長著しいのがVTuberビジネスで、ラグジュアリー並みの利益率やVTuberの高額報酬はうらやましいばかりだ。トップを争うエニーカラー社(にじさんじ)とカバー社(ホロライブ)の両雄を取り上げて比較し、成長と収益化のステップを検証してみた。

VTuberビジネスの最新状況

今やVTuberビジネスは花盛りで、「にじさんじ」のエニーカラー社、「ホロライブ」のカバー社を筆頭に、Brave Group(未上場、HIMEHINAのスタジオLaRaを子会社化)や774inc.(ななしいんく)、ゲオ傘下のviviON(あおぎり高校)、漫画家の佃のりおののりプロなど多数が競い合い、サンリオ(ニャンタジア)やエイベックス(バーチャルエイベックスのAVALON)などエンタメ大手も参入している。その百花繚乱ぶりはEC業界と通ずるところがあり、ユエットメディアが作成した「VTuber事務所カオスマップ」を一見すれば想像が付くと思う。

歌唱やダンス、ゲーム実況や雑談、一発芸や専門的ハウツウなど「中の人」(VTuber)のキャラクターやスキルによってコンテンツは異なるがYouTubeなど動画投稿サイトが主戦場で、近年はリアルのアリーナライブやテレビ番組、CMにも広がり、「推しグッズ」販売も急拡大している。VTuberとは出自が異なるとはいえ、アニメエンタメのサンリオやRPG(ロールプレイングゲーム)のバンダイナムコの方がアニメーション技術では数日の長があり、中でもバンダイナムコのアイドルマスター(IDOLM@STER)シリーズのステージエンターテイメント動画やアイドルの公式配信MMDモデルによる二次創作動画の水準は突出している。

動画配信という狭義のVTuber市場は800億円でもアニメ配信市場は倍の1650億円、国内のゲームアプリ市場は1兆2320億円、ゲームコンテンツ市場全体は2兆1260億円(角川アスキー総合研究所)、グローバルのアニメ市場は2.9兆円と言われるから、プレイヤーが百花繚乱でも当分は青天井だ。

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