PROFILE: 坪内 有 / ワコールブランドマネジャー兼商品本部ワコール・ウイング商品統括部ワコールブランド商品部商品営業一課
ワコールは業績不振を受け、昨年から抜本的な構造改革をスタートしている。その大きな一歩となるのが、2024年秋冬に実施した基幹ブランド「ワコール(WACOAL)」のリブランディングだ。既に「パルファージュ(PARFAGE)」「ラゼ(LASEE)」「ルジェ(LGE))」はブランドを終了。今回のリブランディングでは、“ワコール コレクション”“ワコール ベーシック”“ワコール プレミアム”という3つの商品群に再編成し、品番も減らした。そのリブランディングを遂行したのが、坪内有ワコールブランドマネージャーだ。彼女にリブランディングで目指すことと成果、課題について聞いた。
年齢だけでは分けられないテイストや好み
WWD:リブランディングの理由と目的は?
坪内有ワコールブランドマネージャー(以下、坪内):下着市場全体の売り上げが年々縮小し、消費者の下着に対する優先順位が下がっていると感じる。「ワコール」は、認知度は高いが、若年層や多様化する価値観に対応できていなかった。「ワコール」ブランドは下着を通して美を提供してきた。しかし、個の価値観が変化している今、時代に合う下着の力を捉え直して発信するべきだ、下着の価値を高め。消費者に下着を通して感動や元気を与えられるブランドにしたい。
WWD:リブランディングはどのように進行した?
坪内:マーケティング本部長から打診があり、23年5月に6人のチームが発足。MD、企画、販促、広報などのあらゆる部署から、スピード感を持って進められるメンバーでチームを立ち上げた。まずは課題の洗い出しから始めた。24年秋にリブランディングが決まっていたので、あまり時間はなかったが、ブレストに約半年をかけた。
WWD:リブランディングでフォーカスした点は?
坪内:一番こだわったのは、お客さま一人一人が「自分に最適なものを選べる」ということ。今までは、年齢別のテイストでブランドを作っていた。それが今の時代に合っているのかと考えたときに違和感を感じた。年齢で分けるのではなく、消費者のニーズを軸としたラインアップにするべきだと思った。それに気付いたのは、美容院で自分がいつも読んでいるファッション雑誌ではなく、年齢の上の方が読むライフスタイル誌を置かれたとき。今は、タブレットを渡されるので、年齢や好みに関係なく自分の好きなものを選んで読める。下着も同じことではないかと思う。20代はフェミニンが好き、40代以降はシックと、「無意識にこうだ」と決めつけていたと感じた。
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