インビテーションカードには、ちぎり絵のような、抽象画のようにも見える絵が描かれ、その上に"MADE IN ITALY"の文字が書かれている。その絵と文字はショー会場の壁全面にも描かれている。
ショー直前に突如、ラジコンのように浮遊する物体(カメラ)が、ウィーンウィーンと音と風を発しながら不規則に会場を飛び回り始めた。「フェンディ」は今シーズン、無人カメラによるライヴストリーミングを行なうことをアナウンスしていたことに、あ改めて気づかされた来場者は一斉にiPhoneを向け撮影を始める。どこか滑稽な風景は、ショーが終わるまで続いた。
ファーストルックは、ダーツでウエストをシェイプした膝下丈のウールドレスに身を包んだカーラ・デルヴィーニ。ラグジュアリーなファーをあしらったフードをかぶり、手にはカール・ラガーフェルドを模した人形をこれ見よがしに持ち、ランウェイを闊歩する。張りのある素材のせいか、肩はやや張り出し、構築的なシルエットを描く。ファーを部分的にあしらった同じシェイプのドレスもある。ドレススタイルに続くのは、贅沢なファーを用いたアウターが主役のスタイル。ミリタリーコートやモッズコートなど。多様なファーをブロッキングしたり、部分使いしたり。それらは「フェンディ」の誇り、世界一の職人技で作られていることが容易に想像できる。インビテーション柄を模した、ファーをブロッキングしたスタイルもある。ボトムスは膝下丈のナロー、あるいはくるぶし丈のたっぷりとしたフレアか、サーキュラーミニを合わせる。
ショーが進むにつれ、ランウェイを闊歩するモデルが、貴族のように見えてきたのは、ショーの音楽に壮大なクラシックを用いたせいか。その感覚を現実に引き戻したのは、多用されたスポーティなメッシュ素材とアクセントカラーとして用いられたホワイト。クラシックなスタイルをコンテンポラリーに引き上げた。
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